1/21(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年1月22日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『唐版 滝の白糸』

みなさんこんにちは。佐々木です。

本日は120日のワークショップの

レポートをお送りします。


ついに『唐版 滝の白糸』も終盤。

主人公アリダ君の持つ10万円を巡って

ヒロインお甲さんとタカリ男の銀メガネの戦いもヒートアップ。

そこにお甲さんを心配して(本当はお金をもらえたか確認しに・・。)

小人症のプロレスラーたちが登場するシーンから

始まりました。


今回は台詞の言い回しについて2つほどとりあげたいと思います。

まずは一つ目。


アトム『そは永劫の敵、鶴だ!空という空に鶴!鶴、鶴、鶴だ!』

(中略)

小人4『ミニタリズムにキャピタリズム、ナチズムにシオニズム。

アラヴィズムにツルリズム。』

アトム『すると何だ、おれたちの闘っている鶴とは皆、カタカナの化物か!』


小人たちの戦いについて、上記のようなセリフがあります。

このセリフ、私は歯が立たなかったのですが、解説しますと、

そもそも〈イズム〉つまり〈主義〉を持つことができるのはお金持ちであり、

貧乏な彼らにとっては全てが敵に見えます。

そして彼らの永劫の敵は「鶴」なので、(これは中国の小人伝説がモチーフ?)

最大の敵は《ツルリズム》。というロジックです。(もちろんそんな主義ありません)


ですから、小人4のセリフに出てくる〈イズム〉を全て同じに言ってしまっては駄目で

《ツルリズム》という言葉だけが単独で立ち、またその面白さを伝える必要があります。

意味がわからないと、セリフを正しく発声できない。

細かい様で大切な事なので今後も何度も出てくるポイントになりそうですね。

(しかし、《ツルリズム》って・・・)




そして、もう一つ。

甲さんの台詞で


誰かが手首を切ってその血をたらしたら、月は赤い月。

流しのセンを抜けば、それがとぐろをまいてジョウゴに流れ込むでしょう。


という部分があります。


この台詞のポイントは、ずばり速度にあります。

血がポタポタと垂れる速度。とぐろをまいてジョウゴに流れ込む速度。

この速度に合わせてセリフを言う事で情景がより伝わります。


今回私もこの部分を読ませて頂いたのですが、ついつい早く読んでしまいました。

アドバイスいただき、セリフの速度をイメージに合わせて読んでみると

セリフの中に「体感している」というリアリティが出てきたのを実感しました。

速度一つでここまで差があるとは...

大変勉強になりました。


来週のワークショップはついに『唐版 滝の白糸』最終回。

10万円の争奪戦はいよいよクライマックス。

自分の『芸』を見せて、お代をもらおうと思いつくお甲さん。

その芸こそが『滝の白糸』芸。

しかしそこに、真の敵《ツルリズム》が姿を現します。

来週もよろしくお願いします!


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