4/1(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年4月 2日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『盲導犬』
こんばんは。佐々木あかりです。
今日から4月ですね。新年度に入り環境が変わる方もいらっしゃるかと思いますが
身体を壊さない様お過ごし下さい!
本日はワークショップレポートです!

今週は、『盲導犬』最終回でした。
盲人の破里夫がフーテン少年に見捨てられ、
やけになってフーテンが興味のある"星"を探しに行く所から
解説がスタートしました。
フーテンが見つけてきた"星"とはなんと"ガスバーナー"。
現実ではケーキ屋さんや回転寿司くらいしか見ることがないですね。
とある中野さんのお知り合いの俳優さんは、
学生の頃『盲導犬』を上演し、その時本物のバーナーを使い、
操作を誤って天井を少し焦がしてしまったとか。
ちなみに唐ゼミ☆で過去に公演した時はさすがに本物は使わなかったそうです。
ガスバーナーはあるだけで迫力がありますね。

最初は、銀杏についている盲導犬の胴輪を
銀杏の元夫の盲導犬学校の先生と破里夫が
二人で持っています。
銀杏の元恋人で、恋を再熱させたタダハルは
男らしい発言をして強がりますが、本来はとても弱い少年です。
そのため先生が来るとすぐに言うことを聞きます。
タダハルのタダ(忠)は
恐らく忠犬ハチ公の忠から来ているのではないでしょうか。
そんなタダハルは先生に叱責され犬になってしまいます。
そして、破里夫は先生と戦おうとするも倒れ、
フーテンは総殴りされてしまいます。
周りに味方がおらず夫の犬になる事を認めるしかないと銀杏は諦めますが、
そんな彼女の首をファキイルが噛み切ります。
殺されると思うとネガティヴに思えますが、
実は"服従してはいけないよ"とファキイルに応援されている
ポジティブなシーンです。
エピローグで、破里夫はファキイルに希望に感じていますが、
ファキイルは破里夫のことを覚えてすらいないのでしょう。
破里夫がかっこつけていて、しかし滑稽であるように魅せる必要がありそうですね。

中野さんがまだ唐十郎ゼミナールの学生だった頃、
最初にこの戯曲を読んだ時は不服従はかっこいい!という理解だったそうです。
しかし、やりながら違うと感じ、上演した後にはっきりわかったそうです。
というのも、『女の人は服従不服従ではなくもっと訳の分からない存在だ』と室井さん、唐さんと話し、
銀杏やファキイルは不服従を選んだというわけではないと思ったそうです。

この作品を書く上で唐さんが原動力にした作品があります。
それは、脚本清水邦夫、監督田原総一郎、清水邦夫の
『あらかじめ失われた恋人たちよ』です。
内容は、都会で政治運動に敗れた青年が田舎にやって来てその町で第二次闘争を行おうとしたがなかなかうまく行かないという作品です。
その作品の中に緑魔子さんが登場します。
(たった3分くらいですが、中野さん曰く唯一面白いシーンだそうです。)
運動に対して田原総一郎さんや清水邦夫さんが頭で考えたものを
緑魔子さんは感覚で粉砕しています。
恐らくその緑魔子さんを観て、銀杏を思いついたのではないでしょうか。

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弱く役に立たないタダハル
自らを服従させようとする夫
反権力的であるようで結局高圧的な破里夫
どの人をとっても銀杏にしてはわずらわしく、
銀杏だけがファキイルと同じ存在で、
ファキイルからの応援を受けたのでしょう。
『女の人は犬みたいなもの』
というのは、この戯曲において最大の褒め言葉だったのですね。

来月からは『海の牙-黒髪海峡篇』になります!
来月のアシスタントは麻子さんになります!
興味がある方は是非ご参加下さい!お待ちしています!
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