5/27(木)ワークショップレポート(林)

2021年5月28日 Posted in 唐十郎戯曲を読む『海の牙〜黒髪海峡篇』
5月最後のワークショップ、『海の牙〜黒髪海峡編』いきましょう!

先週はカツラ屋の奥から鍛冶屋が現れ、
登場人物が一気に増えたところでしたね。

鉄の棒が折れ、シャラは梅原北明に、その熱い棒を掴むよう仕向けられる。
困ったシャラはずっと黙っていた呉一郎に助けを求めます。

今週はここから。

呉とシャラの会話を聞いていた按摩は、
シャラが商売敵のパンマであることに気づきます。
あのパンマではないか!!と。
(というのも、呉一郎同様に、チョゴリを着てカツラを被っていたので、
この女が瀬良皿子だということに気づかなかった。)

女がシャラだとわかった按摩は、梅原北明に訴えます。
この女はパンマで、按摩である自分たちの憎っくき商売敵であると。
それを聞いた梅原北明は思いつく、

按摩 VS パンマ

やはり自分は"呼び屋"なのだ! 
とこの思いつきに北明は盛り上がる。

しかも、北明はシャラのことをチュジュドの女だと思っており、
"この女は、海を越えてつかみ合いの武者修行に来たのだ!"
と、ストーリーが勝手に組みあがって、さらに盛り上がる。

そして、ト書き。

激しい音楽の中を鬘が降りてくる。

もはや試合を盛り上げる儀式。
そこへ按摩の弟子たちレンタン、レンタン起こしを持ってくる。
そのレンタンの上へ二本の鉄をかざす。

北明の「火が弱い!」の声に、按摩の弟子たちは
カツラを次々とレンタン起こしの中につっこみ、燃やす。

とそこへ、チョゴリの女たちが現れる。
"日陰"として生きていた女たちは、
自分の髪の毛でつくられたカツラが燃えるのを見て嘆く。
その中には、名和四郎の母もいる。

カツラを燃やし、試合を盛り上げる北明と、
それを見て嘆き訴える母。
二人の間で揺れる名和四郎であったが、
北明が母に手をあげたことで、一変、名和四郎は北明に匕首で斬りかかる。

ところがあやまって、母を刺してしまう。
悲痛な少年の叫びは一つ、
"シュリンガーラ・ティリカ!"


そして、その頃、高温に達した二本の鉄。
按摩 VS パンマが始まる。
じわじわと中央の熱い部分へと手を伸ばしていく双方。
(一応書きます、どちらが熱いところをつかめるかを競っています!)

DSC_0357.JPG

これでもか!
と按摩はぐいぐい手を伸ばす。
その手からは煙があがるほど。

しかし、その煙は妙な匂いがする。
それに気づいた呉一郎は、按摩の手首をつかむ。
"ダントン"がまた動き出す。

呉   ぼくにもよく分るんです。
      この手は旋盤をいじくり回した手です。
      肉がそがれたり、つぶされたりした時には必ず、
      アンズをかむような切ない匂いを発するもの。
      ところが何だ、この合成樹脂の匂いは!


といって、按摩の手を名和四郎が持っていた匕首で叩っ切る。
呉一郎は、按摩の手首が義手であることを見破ったのである。

切断された手が、まだ鉄の棒をつかんでいる。
呉はその棒をさしあげて振る。
そして、切られた手首がクルクル回る。

そこでできあがったのは、なんと大車輪!


と、ここでワークショップ終了!
なんとここにきて、あの"大車輪"ができあがるとは。
呉一郎と、瀬良皿子の出会いとなった"大車輪"
このあとの二人は、どうなってしまうのか。

ついに一幕の終盤へと向かいます!
それでは、また来週!


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