11/27(水)『盲導犬』本読みWS 第1回 その③
2025年11月27日 Posted in 中野WS『盲導犬』
↑「フーテン」が語る個人史は、この映画とゴッチャになっていまいした
初回の本読みであたったシーンは下記の通り。
①「盲導犬学校の生徒たち」
ラジオ番組「全国こども電話相談室」のやり方で、「盲導犬」とは何か
を語ります。
ここで「盲導犬」を仕込む際に必要な事柄として「服従」の大切さが
説かれた瞬間、「影破里夫」があらわれ「ファキイル!」と叫ぶ。
すると、「生徒たち」は慄いたのちに規律を取り戻し、「ファキイル」
の不服従性を語ります。
盲導犬学校vsファキイル、服従vs不服従、この劇に通底する二項対立が
まず提示されます。
一方で、この場面どこかコミカルでもあることも忘れてはなりません。
盲導犬を調教する鞭の音の直後に、「全国こども電話相談室」風の
Q&Aが始まるからです。緊張と緩和。笑いのセオリーが展開しています。
②「フーテン」と「婦人警官(サカリノ)」
シンナーを吸う青年「フーテン」を「婦人警官」が補導しようと
します。どうしてこんな体たらくになったのか、「フーテン」は
語るも、それはいずれも、映画や小説から借りた偽の人生経験
でした。シンナーを吸ううちに意識が混濁し自他の区別がつかなく
なっているとも言えます。しかし、「フーテン」が母親に死なれた
ということは事実のようです。
女子学級委員的な厳格さを持つ「婦人警官」でしたが、母の死に
ホロリとして「フーテン」の補導をやめます。重要なのは、
彼女が、厳格さを時に曖昧にして人間味を帯びる点です。
これから劇が展開していくと、この人間味が消失する瞬間が来る。
布石です。
③「フーテン」と「影破里夫」
「婦人警官」に開放された「フーテン」が「影破里夫」に
絡まれます。硬軟取り混ぜた「破里夫」の語り口ですが、
重要なのは、彼が仲間や後継者に飢えている点です。
何の仲間であり後継者か。いっしょに反体制運動をする
同士が欲しいのです。このあたりは、初演時の蜷川さんや
石橋蓮司さんがやっていた劇団の性質が大いに背景になって
います。しかし、運動が挫折する中で、これを信奉する
若者は減っていくわけです。そこで、取るに足らない
「フーテン」に頼らざるを得なくなった。
そうして声をかけられた「フーテン」が絡め取られていく
光景をたのしむ場面です。
以上、前回読んだ3つのシーンでした。
トラックバック (0)
- トラックバックURL:

コメントする
(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)