3/19(水)『ジャガーの眼』本読みWS 第7回 オマケ

2025年3月20日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑見た目とはうらはらに、左が常識人、右がアウトローの対決です


面白かった『ジャガーの眼』2幕終盤の本読みを思い返すたびに印象深いのは
「Dr.弁」の倫理観の強さ、常識人ぶりです。

「Dr.弁」は見た目こそ奇抜ですが、あれは変人などではありません。
すべては医学のために、自ら身を捧げて実験台としたためにあのような
姿になったのです。その一途、真剣さ、あまりに過剰で怪物的では
ありますが、もっとみんなの尊敬を集めて良いと思います。

一方、主人公サイドの面々はいずれもアウトロー過ぎます。

少年ヤスヒロ・・・死んだ愛犬チロの遺骸をいつまでも抱いて復活を願う
くるみ・・・亡き恋人の角膜の移植先の男性を、新しい恋人にしようとする
しんいち・・・くるみに口説かれ、婚約者・夏子を捨てて青春の冒険に出る

どうでしょう。この3人の方が社会生活を送る上でかなり迷惑な存在です。
でも、観客や読者はアウトローが大好きです。
物語の世界では人倫を超えて大ジャンプしたいと願う。
つまり、大きな意味での不倫願望の結晶が彼ら3人なのです。

繰り返しますが、「Dr.弁」は医学の徒として、全霊で人類を先進させようと
する正義感なのです。『少女都市からの呼び声』初演の成功を経た後、
唐さんは金守珍さんの中に、度はずれな真剣さを見、それがゆき過ぎて
豪快になりすぎるところまでを見出したのだと、思わずにはいられません。

こうして精読すると、「Dr.弁」の、探偵「扉」の真の姿があらわれて、
毎週ごとに興奮させられる『ジャガーの眼』です。

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