10/21(火)『木馬の鼻』本読みWS 第1回 その②

2025年10月22日
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↑後ろが、お部屋化した箪笥です。「谷也」が居住できるよう設えてある
(唐ゼミ☆2012年春公演より)

一昨日の第1回で読んだ箇所は、唐ゼミ☆版の台本105ページ中
15ページほど。まだほんの序盤。

物語は、箪笥屋が舞台です。その隣はラーメン屋。
まず、箪笥屋の「竹子」が、売れ残った箪笥の中に「お部屋」を
仕込んでいます。布団や枕を置き、狭いながらも人がギリギリ寝られる
環境をつくっている。結果的にこれは、後に弟である「谷也(たにや)」
のためだとわかります。「竹子」は、引きこもりがちな「谷也」が
もっとも落ち着く空間をつくっているというわけです。

しかも、その時に歌を歌います。
それは売れ残った箪笥と自分をうたう歌で、「売れ残り」、
つまり、恋人や結婚相手ができない自分を自嘲して、
「わたしを迎えに誰かがやって来ないものか」と歌うのです。

すると、隣のラーメン屋の青年がやってくる。
「市(いち)」という青年です。彼は「竹子」に気があるらしく、
しかも「竹子」の方でもまんざらでもないらしいのですが、
昔から知り合いのご近所であるがゆえに「腐れ縁」という感じの
関係性の二人です。

「市」は、最近のお祭りで「竹子」が手に入れた金魚のために
出前用のオカモチの中に風鈴を入れ、その音色で、金魚を喜ばせようと
します。が、「竹子」は「金魚に耳は無い」と言って「市」をからかう。

「市」は見当はずれなプレゼントをしてしまった自らを恥じ、
「金魚の耳はどこにある?」と歌って身悶える、という、何とも
情けない展開です。

要するに彼らは、そんな問答をしながら戯れあっているようにも
見えるのですが、そこに、「谷也」が帰ってきます。
デパートの屋上遊園地で清掃員をしている「谷也」は、どうやら
仕事でしくじりをしたらしい。それがために、冒頭で「竹子」が
用意した「箪笥部屋」に着替えもせず、風呂にも入らず汚れた体で
入ってしまう。そういうところからこの物語は始まります。

・・・全体に、平和です。
とるに足らない問題や悩みを扱った寓話のようなはじまりといえます。
明日は、そこにどんなメタファーがこめられているか。考えてみます。





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