10/22(水)『木馬の鼻』本読みWS 第1回 その③
2025年10月22日 Posted in 中野note
↑『ジョン・シルバー』の「双子の姉妹」。私たちの原点といえる演目
(唐ゼミ☆2017年9月公演より 撮影:伏見行介)
気づくことがあります。それは、それまでに唐ゼミ⭐︎が上演してきた
作品の要素が、『木馬の鼻』にちりばめられているように感じるのです。
例えば、一昨日に読んだ場面。
「竹子」が自分にすてきな男性が現れないことを嘆いて
歌う歌のなかにこんな歌詞が出てきます。
簞笥の中は 思い出市場
売れた物は ハマグリの貝
残ったものは シジミのかけら
これなど、谷也が引きこもる箪笥を貝になぞらえながら、
売れ残りの女性である自分を自嘲した歌といえます。
女性を貝に例える歌といえば、私たちが初期に上演し、
ずっと思い入れてきた演目『ジョン・シルバー』で「双子の姉妹」
がこう歌います。
あたいたちゃ すべた
あたいたちゃ あさり
・・・思い切り下ネタですが、こんな具合です。
また、ラーメン屋の「市」が自分の耳を男性器に見立てて、
「竹子」にペンチで引っ張ってもらうくだりなど、
私たちがやはり初期に上演した『動物園が消える日』の中で
ヒロイン「オリゴ」に主人公の「灰牙」が、ゲランの香水瓶を
自らの男性器に見立てて、動物園のもぎり用パンチでつまんで
もらう、というシーンに似ています。
これらが、唐ゼミ☆の上演史を意識したものなのか、たまたま
唐十郎という作者がいつも同じ傾向を着想する範囲に収まる事柄
なのか、それは私には判断できません。『木馬の鼻』という唯一の
書下ろし作品を読む時、まして、唐さんの現在を思う時、私は
どうしても感傷的にならざるをえないのです。
この先も読んでいくと、何か同じような発見があるかも知れません。
上記の2作品を2002年に上演した後、唐ゼミ☆公演は
『少女都市からの呼び声』『鉛の心臓』『盲導犬』という風に
続きました。WSに参加してくださる皆さんと台本を読みながら、
そんな期待も去来しています。
トラックバック (0)
- トラックバックURL:

コメントする
(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)