12/12(木)バナナがミカンになった

2019年12月12日
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↑頂いた蜜柑。和歌山からのお取り寄せだそうで、やはりこだわりの方です。

昨日、唐突にtptの話題に触れたのには訳があります。
それは最近、中島晴美さんとお昼をご一緒したからです。

中島さんは穂の国とよはし芸術劇場のプロデューサーですが、
自分にとっては、よくtptに出演なさっていた女優さんであり、
ベニサン・ピットの二階にあった喫茶店の、美しいマダムです

ベニサンに観劇に行った時には、いつも二階の喫茶店に行きました。
特に『令嬢ジュリー』の時にはあんまり何回も来るので、
中島さんは注文したコーヒーに加えて次第におまけを下さるようになり、
最終的には、トーストにバナナまで付いてきました。

こちらは自分の名前などお伝えするべくもありませんでしたが、
注文したものをサーブして下さる時の身ごなしから、
プロの俳優は日常の所作からして美しいものだと、
一人で感嘆していました。

そうそう。いま思い出しましたが、
あの喫茶店でトイレに立つと、
出番前の俳優たちがおしゃべりしている廊下を通り抜けることになります。
その打ち解けた様子が舞台の緊張感と対称的で、
いかにもカッコ良かった。
選ばれたもの同士の交流と余裕、そういう感じがしたものです。

二年ほど前、神奈川芸術劇場に訪ねて来られた中島さんに、
私はコーヒーをお出ししながら自己紹介をして、
かつて御恩を受けた旨をお伝えしました。

それから、横浜にいらっしゃる時には連絡を下さるようになり、
中島さんが手掛けられたり、見聞きしてきた芝居の話を、
伺うようになりました。

つい先日は時間に余裕があって、
昼食をご案内をする機会に恵まれました。
写真は、その時に中島さんが、私に下さったものです。
わざわざ豊橋から持ってきて下さった、特別な蜜柑でした。

ちなみに中島さんは、
かつて劇団シェイクスピア・シアターにおられた頃、
そこで上演した唐さんの『吸血姫』に出演されたそうです。

役柄は「看護婦長」。
あの、額に三本のヒワ(唐さんは「シワ」を「ヒワ」と書く)を持ち、
若医院長・耕三を見つめる熱っぽい目線が特徴の中年女性です。

今も変わらず演劇少女であり続ける中島さんがまさに少女だった頃、
あの役を演じられたと聴くと、思わず可笑しくなりますが、
唐さんには「君が一番良かった」と褒められたんだそうです。

『吸血姫』にはそんな上演もあったのだと、伺っていて嬉しくなります。

青年・肥後に小刀「肥後守」で刺される姿も、
中島さんはきっと変わらず、可愛かったに違いありません。

20年経って、バナナがミカンになりました。

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