3/13(土)人生がギャンブル
2021年3月13日
↑競輪場。一度は行ってみないといけません。
そういえば、劇団員にもギャンブルをする者がいない。
昔、一緒に自動車の免許を取った時にできた友人が
面白い話をしてくれたことがあります。
彼は競馬をやっていたのですが、
本命ガッチガチの、倍率が二倍くらいのレースがあると、
そこにひと月で稼いだアルバイト代すべて突っ込むのだそうです。
当時は大学生でしたから、バイト代といえば、
せいぜい5〜10万円の間、それを全額賭けるらしい。
本当にガチガチの本命なのでかなりの確率で勝つらしく、
時に7万は14万になり、8万は16万になる。
ロマンなどまるで無い賭け方ですが、
やっぱり豊かに暮らせるのには変えられないと言っていました。
そしてもちろん、何度かに一度はゼロになる。
かつて、友人に競馬とパチンコに連れて行かれたことがあります。
訳もわからず買ったオッズ数百倍の馬券は程なく紙切れになり、
数千円を投じたパチンコ玉はあっという間に吸い込まれました。
そういう時に大当たりが出ればズブズブいきそうですが、
幸いなことにそんなビギナーズラックは私に訪れず、
ハマるコースを歩まなくて済んだということです。
ただ、その競馬の時に妙に印象的だったのは、
いかにも初心者然とした自分に、周囲のおじさん数人がこぞって
話しかけてきたことです。彼らはやたらと所在なげな自分に声をかけ、
競馬のなんたるかを語ってくる。
しかし、誰もが負けたばかりなのです。
勝つとわかり切っているものに賭けるのは邪道だと口々に言っていました。
目下、唐ゼミ☆劇団員たちと研究している『ベンガルの虎』には
競輪場の場面があります。唐さんが初演時に扮した役柄は、
「将軍」とあだ名される腕利きの予想屋。
芝居としてはとっても面白いこの劇の2幕ですが、
しかし、普段から競輪に親しんでいる人にはおかしなせりふが
いっぱいあると思います。それは唐さん自身がギャンブルをせず、
にわか勉強で書いたことに起因しています。
そう。唐さんもギャンブルはしません。
ギャンブルにハマる人たちへの興味はあるらしいのですが、
ご自身がプレーヤーにはならない。
決してこうしたことで身を持ち崩さない。
ある時、「何故、ギャンブルをやらないのですか?」
と私が訊きましたら、芝居をやることが人生を賭けたギャンブルなので、
これ以上ギャンブルは必要ない、とおっしゃっていました。
なるほど。唐さんの人生、特に若い時の売り出し方は、
いかにもギャンブルという感じがします。
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