2/2(金)立ち稽古は1幕終盤に進み「叔父さん」が登場

2024年2月 2日 Posted in 31_鐵假面
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今日は1幕終盤を立ち稽古しました。
いよいよ「叔父さん」を演じる佐野眞一さんの登場です

佐野さんは、流山児祥さんが主催する中高年劇団シアターRAKUの
メンバーで、2021年に浅草で公演した『唐版 風の又三郎』から
唐ゼミ☆に関わるようになった役者です。

年配なのですがフットワークが軽く、
現場の若者たちと自然に溶け込むように話し、
一緒に作業もやり、舞台上ではすばしこく動き回るところが
佐野さんのおもしろいところです。

でも、今回はいつもの佐野さんを一旦封じて、
戦争の歴史を体現したような重い役をやってもらうことにしました。
明るい佐野さんが、休憩時間にフッとうつむいていると、
やはり人間の歴史があり、長く伸ばしたほつれ髪が風に
そよいだら良いだろうなあ、などと色々とこちらの想像を
刺激するからです。

稽古では、亡霊のように脱力して練習をし、
せりふも、ここぞという時の他は情感を殺して生死の境にいる
叔父さんを一緒につくるよう試行錯誤しました。
ハマる瞬間がいくつもあって、これはちょっと他の人には
出せない味わいと景色です。

この「叔父さん」役は実際の唐さんの叔父さんがモデルに
なっており、戦時中は満州の鉄道で働いていたこと、
大荷物を抱えて復員し、田町駅の助役として働き通された人なのだと
唐さんから伺ったことがあります。

『ジョン・シルバー』の冒頭のエピグラフはこの叔父さんに
捧げられており、一生を黙々と働きながら、どこかに芸能への
憧れを抱いていた叔父さんが死して旅の一座に加わっている
という景色が描かれます。

佐野さんとは、よく佐野さんの健康を維持して、
現れた瞬間に観る人の心を奪うような叔父さんを引き続き造形します。
そして、2幕になったら、普段のファニーな佐野さんを大いに
発揮してもらおうとも考えています。

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