『君の罠』第2回 9月12日(土)〜22日(祝火)
2015年9月22日 Posted in SP_君の罠
中野です。
前回は『君の罠』公演が決まった経緯をお話ししました。
去年の秋頃からのいきさつです。
現在は稽古が始まって、約10日が経ったところ。
そこで今回は、9月12日以来、公演準備が立ち上がってきた様子をお伝えします。
9月12日(土)〜22日(祝火)
9月12日(土)は公演準備初日。
まずは、朝から作業場の片付け。
夕方になると、皆で大きなテーブルを囲んで打ち合わせや、劇の中身の話。
実は初夏に一度、それまでに書き上がった『君の罠』台本を作者を囲んで読み合わせる機会があったのだが、その結果を受けて望月さんが書き直したものを、改めて配布したのがこの日。
望月さんは望月さんで、私たちが夏の東北ツアーを行っていた間、ご自身の劇団ドガドガプラスの公演をされていたので、9月1日にそちらが終わってから、急激に唐ゼミとの公演に頭の舵を切った状態。
お互い前作の疲れを引きずりながらも、切り替えて共同制作に向かっていこうと久々の打ち合わせをしたのが、大雨だった9日(水)。
そこから2日かけて唐ゼミ様式の台本に清書をして、皆に配った。
他にも、内容に関わる資料を印刷したものを渡す。
初見で読み合わせても実りが少ないので、とりあえず配役を伝えて、数日かけて読み込んでくるよう指示を出し、作品の内容に関わる詩、吉本隆明の詩『エリアンの手記の詩』を読解しながら声に出して詠んだ。
その若さゆえのセンチメント、自意識、青さを皆でツッコミながら詠んだ。
その後、飲み会。
唐ゼミは、自分がお酒を飲めないせいで、世の劇団より格段に飲み会が少ない。
けれども、この日は稽古初め。
やる時はやる。
13日(日)朝集合して昼過ぎまで
昨日から一晩しか経っていない。
まだ『君の罠』本読みには機が熟さないので、一旦、別の台本を本読みすることにする。
将来やるかもしれない唐さんの台本だ。
自分はこうしていつも、何週間かかけて予習した台本を皆に本読みしてもらっては、皆の感触を探っている。
おもしろかったので、今後、実際に上演する可能性あり。
その前後で、皆はプライベートな時間のすべてを使って、『君の罠』を読んでいた。
14日(月)夕方集合
いよいよこの日より、『君の罠』の本読みに入る。
まずは1幕の前半。
謎めいたスタートだが、先々の物語の展開、全体のあらましを確認しながら、今この瞬間にこの役が何をしようとしているのか、行動原理を確認しながら、科白や所作に当たっていく。
遅々とした作業は、煮詰まると大いに煮詰まる。
まるで時間が止まったよう。
どう困っているのか具体的な科白を書きたいが、それじゃネタバレだ。
この日記も難しい。
...。
これくらいはいいでしょう。
今回は、探偵役が出る。
唐組の90年代を観ながら、望月さんはずっと探偵が書きたかったのだそうだ。
望月流の可笑しな探偵を、禿がやることになった。
やはり衣装は白のスーツだろうか?
15日(火)は休み。
16日(水)17日(木)1幕の読み合わせ
行きつ戻りつしながら、細かくやる。
途中まで行くと、冒頭の方の科白の謎が解けたりする。
個人的に何土も読んでくるのだけれど、見逃していたのだ。
稽古で発見があると、嬉しくなる。
皆と台本を間において会話していると、閃きが引き出されたりする。
稽古の愉しみ!
この間、配役も調整する。
18日(金)休み。
19日(土)作業。
自分たちの作業場は半野外にあるが、木の床が雨や微生物の働きで定期的にに朽ちてしまう。
だからこの日は、床の張替え作業。
他にも、以前から頼まれていた知り合いのイベントの手伝いが、この日は2件。
20日(日)13時に銀座集合。
取材の日。
この日は、皆で劇の舞台となっている場所を巡り歩くことにした。
銀座の数寄屋橋交番裏に集まる。
思えば23歳の唐さんは、この場所での路頭劇により、初めてマスコミに載った。
大久保さんは真冬の池に入って凍死寸前だったという。
そんなことを考えながら皆が集まってくるのを待つ。
集合したら、移動したルートはこのような感じ。
数寄屋橋交差点→日比谷公園→晴海通りを下り→資生堂を見て→歌舞伎座→築地市場→本願寺(中も入る)→聖路加国際大学&病院(協会の中も見る)→勝鬨橋を渡り→月島→もんじゃ焼き屋で1時間→大江戸線に乗り→都庁前駅→新宿中央公園を見て→新宿駅。
新宿駅では、駅構内にある喫茶店ベルクで、親しくしている平早勉さんの偏執狂的な写真展が開催中。
皆で立ち寄ったらご本人がいて、記念撮影もする。
そして解散。
劇に出てくる土地や建物を見て歩くと、科白が実態をともなってくる。
こういう作業を皆でしていると、劇団のよろこびを感じる。
一方、この日、元状況劇場メンバーの安保由夫さんの訃報に接し、天を仰ぐ。
突然だった。
21日(祝月)夕方から本読み。
昼間、安保さんが荼毘に付されると聞いて、堪らずに足を運んだ。
公の会にするつもりはなかったようだけれど、同じ気持ちの人たちが集まっていた。
安保さんにこれまでのお礼を言って、手を合わせた。
火葬に入ったところで、いたたまれなくなって、その場を辞した。
流布するイメージと違い、状況劇場がとにかく稽古づけの毎日だったことを教えてくれたのも、安保さんだ。
そうだ、稽古しよう。
夕方に集合して、皆に安保さんのことを報告し、 黙祷。
それから合唱。
僕らが一番初めに安保さんにお世話になった『ユニコン物語』の『八房の唄』。
パソコンの中、大唐十郎展の時の安保さんは、僕らが生歌で追いかけるのを振り切るように、転調して最後を盛り上げていた。
稽古はいつも以上に熱が入る。
だいぶ台本が浸透してきて、自分たちの日常会話のトピックは、だんだんと登場人物の話題で占められるようになってきた。
22日(祝火)朝から昼過ぎまで本読み。
何人か昼過ぎに予定を抱えていたので、早朝から集まって稽古。
実は翌23日に望月さんが来て、これまでの経過を披露するのだ。
自然と盛り上がる。
と行きたいところだが。
熊野が大遅刻した。
斎藤が家に起こしに行ったらまだ寝ていた。
彼は普段から実に実直で真面目な男だ。
常習的なルーズさも一切ない。
が、時折、こうして大きな寝坊をやらかすのだ。
それも、現場入りの日とか、地方への移動の日とか、気合いのこもった日に限ってだ。
最近ずいぶんマッチョになってきたが、所詮はまだまだ男の子、ボーイのレベルだ。
早くガイになってもらわないと。
望月前夜(朝だけど)とあって、一同揃えば稽古は集中力十分。
あっと言う間に4時間以上が過ぎ、何人か次の予定に送り出したら、残ったメンバーでさらに自主稽古。
1日稽古できる充実感!
以上です。
...一気に11日分はかなり乱暴でしたね。
次回からはもっとコンパクト。
安心してください。
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