唐十郎フェスティバル(3) 〜誤算1

2005年3月16日 Posted in 2006以前

 大阪までは、トラック組、電車鈍行組、新幹線組の三班に分かれた。演出の中野敦之は、一足先にオープニングシンポジウムのために近畿大学へとすでに向かっていた。

 出発は朝早く、トラック組は七時すぎに、電車鈍行組は六時半には横浜を出発した。新幹線組はゆっくり昼前に出発したようだが、それには理由がある。
 小川尊。長身でかっこいい男である。しかし、彼は出発前日に足首を折る怪我をした。本人の不注意で起こったことだが、出発前に作業が立て込んだことで、疲労により注意力が欠けていたことも否めない。
 いない時に、その人の普段の仕事ぶりがよくわかる。小川は、作業においても欠かせない人員である。小屋を始め、あらゆる作業に噛み、その作業の早さはずば抜けている。その早さは、昨年の唐組秋公演『眠りオルゴール』に出演してから更に鍛え上げられ、唐ゼミにおいてその存在はなくてはならない存在となっている。
 その彼が、怪我をしたことで作業に支障をきたしたことは否定できない。だが同時に、彼のおかげで本番までの食生活は充実したものになった。

 本番までの食を、小川は作業ができないかわりに担当した。普段から料理が好きな彼は、関西生まれで。味付けはさっぱりしたものを作るので誰の口にも合いやすい。二十人近い食べ盛りの若い連中に供給する量は半端ではない。それを本番まで作り続けた。作業が終わった後に、食が保証されている安心感は作業そのものだけに集中できる。勝手の分からない外部公演で、これ以上の安心はない。

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 本番中の食事は、我らがお姉さん。金谷さんが今回も多忙の中を新潟から駆けつけてくれた。頭が下がります。限られた経費の中で食事のバランスを考えた献立で作ってくれた。更に頭が下がります。
 その金谷さんは、今回明智さんという、流浪の少女を引き連れ、唐ゼミのバックアップを務めてくれました。深く頭が下がります。ありがとうございました。


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