一掛けニ掛け三掛ける仕掛け

2004年6月17日 Posted in 2006以前

盲導犬の舞台が完成に近付く。
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今回は舞台中を鈍く銀に光るコインロッカーが包む。今までの唐ゼミとはイメージが変わって装飾の類いが目立たない。それだけでは語りかけてくることのない、静かな舞台である。
しかし、押し黙る舞台の隠れた所には、様々なものが役割を果たすべく息をひそめている。

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1.天井に下がる黒い籠。
 『鉛の心臓』を御覧になった方は思い出すであろうか。椎野裕美子演じるつばめが、家族と闘う時、あるものが効果を出していた。

2.クリスマス、もみの木に飾るようなライト。
パネルの裏に縦横に奔っている。ロッカーというロッカーが閉じきっているのにも関わらず、この光はどのように見えてくるのだろうか。

3.割れている何か。
破里夫は星であるファキイルとはぐれ、声がかすれてもその名を呼び続ける。時折聞こえる遠ぼえは、ファキイルが何を謂わんとする声なのか。
「あ、見えた。何がだ?永遠。行ってしまった海のことさあ。太陽もろとも行ってしまった・・・。」

4.パネルへ続く階段。
ロッカーパネルへ近付く程、段が高くなっているのが今回の舞台だ。ロッカーの中に自らの大切な「手紙」を封じた銀杏。高くそびえ立つコインロッカーはより厳粛に彼女を戒める。

唐ゼミ一同、寝る間も惜しんで作る舞台。
みなとみらいの夜景にこぼれた嘆息を再び呼び起こす為、日々稽古と作業に身を置いている。


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