華のチューリップ

2004年9月17日 Posted in 2006以前

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パチンコ台についている仕掛けの中で、「チューリップ」とよばれるものがあります。
パチンコは、鋼玉を「入賞口」と呼ばれる穴に入れると得点がもらえる、というシステムになっていて、「チューリップ」は、その入賞口につけられた仕掛けです。

チューリップを模った二枚の花びらは、初めはぴたりと閉ざしています。しかし鋼玉がいちどその蕾に当たると、花が開き、入賞口が現われるという作りになっています。
子供用の玩具が大人にも広まり、全国にパチンコ店が広まった頃、パチンコは不正なギャンブル性を帯びるとして規制され、一度下火となります。それを復活させたのが、昭和50年~60年に登場した「チューリップ」です。また、その頃は、パチンコ台への鋼玉の補給は人の手によって行われていたため、台の裏に職員が配置されていました。

『黒いチューリップ』は、チューリップとその職員に、唐十郎ならではの、人情の交錯するストーリーが盛り込まれています。職員の名は、ケイコ。ケイコは「パチンコ台の裏」という常に閉鎖された空間に身を置いていながら、春を思い焦がれます。そればかりか、自分の姉に一度だけやってきた春を取り戻そうと奔走します。
舞台には、パチンコのチューリップと花のチューリップが、目にも鮮やかに咲き乱れます。


〔いとうしげの〕


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