皆の唄/その①

2004年10月 9日 Posted in 2006以前

眠っていても 飛ばしているのさ 鉄の御車(ギョシャ)
行きたいとこには行かないで お客の城を飛んでいる

二幕冒頭の「♪第三コンドルタクシー」を歌うのは、その社員寮に泊まっているタクシー運転手達である。歌いながら物語るのは、夢の中でさえも他人任せの目的地へ走る自分達の現在の生活である。集団の唄というよりは、皆が独白したいことはどれも同じで、その独白の集大成をつくったらこんな唄になる、といった方が近いかもしれない。楽しまなければやって行けないという諦念の滲み出た陽気なメロディーが、大の男達の哀愁を漂わせる。
二幕の物語はここから始まる。主人公ケイコの姉が刑務所入りになった“タクシー乗り捨て事件”、その過去の事件にケリをつけようとケイコは直々にタクシー会社社員寮にのりこむ。しかし事件は意外な結末を迎えていた・・・。


〔いとうしげの〕


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