唐十郎フェスティバル(5) 〜新人!?

2005年3月20日 Posted in 2006以前

 栗須慎一朗。
 近畿大学芸能専攻に所属し、今年卒業となる。
 「18秒にかけろ」。演出中野から彼への指示だった。

 近畿大学は「唐版 風の又三郎」の公演を四公演行った。初日、二日、三日目と唐ゼミ劇団員は、別れてそれぞれ観劇した。
 新宿梁山泊で行われた公演を唐ゼミの劇団員の多くが見ていた。それを同年代の役者達がどのように演じているか、始まる前から興味津々だった。

 その中で、ひと際異様な雰囲気を放っていた存在が、栗須慎一朗、その人だ。

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 端役ではあるが非常に難しい役、一言で場の雰囲気をさらっていく役を彼は与えられた。それは、小川が怪我をしたことで、演出の中野の要求するものと違うものが出来上がってしまったからだ。
 そんな中、栗須は十分に大役を果たした。小川のやっていたバージョンは観客に考えさせる間を与えずに、場の雰囲気を変化させるものであった。それに対し、栗須は自分にわざと集中させておいて、期待を裏切らない一言を発し、変化させた。

 どちらも見てもらいたかった。どちらが好きか。そういった次元の話になるかもしれない。どちらも面白い。演じるものによってここまで変わるものかと感心する。台詞がただ一言であるということも、誰でも簡単に比べることができるから分かりやすい。個人的には、強引な力を発して笑ってしまう小川バージョンが好きだったりする。…栗須の異様さも捨てがたいのだが。

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<Toshinobu Adachi>


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