唐十郎フェスティバル(6) 〜誤算3

2005年3月26日 Posted in 2006以前

前田、小川の怪我は大きな誤算である。
だが、禿恵に関しては、嬉しい誤算であった。

禿恵。
第二回公演『腰巻き汚染 〜いろはにほへと篇』以降の唐ゼミの全作品に出演。
同時に、唐ゼミのパンフ、ポスターなど多くを手掛ける。
役者としては、椎野裕美子と双璧を成す女優であり、
そのアグレッシブな演技は、ファンを魅了する。

その禿は、膝の怪我を抱えていた。
これまでの公演は、だましだまし行ってきたのだが、
昨年の『ジョン・シルバー 再演』、『盲導犬』、唐組『眠りオルゴール』、『黒いチューリップ』と春から休むまもなく公演を続けた結果、膝に無理な負担をかけてしまい、症状を悪化させてしまったのだ。『黒いチューリップ』が終わったとき、すでに騙せる状態になく通院することになった。

今年に入り、手術を受けるまでになり、唐十郎フェスティバルの出演を辞退することになった。本人としては先延ばしにするよりも、ここで一つ区切りをとり、来年度以降の大学から離れた唐ゼミの活動を行おうとする英断だった。

二月の下旬に手術を受け、術後は良好。すぐに歩けるまでに回復した。最悪、数ヶ月は歩けない状態になるかもという話だったが、嬉しい誤算だった。

三月に入り、禿の姿は近畿大学の蒼テントに姿を現す。
まだ、走るまで回復はしてないまでも、普段の生活に支障のない禿は、受付の仕事を軽く手伝っていた。
演出の中野は、ここで、歩けるまで回復したならと、端役を振ることを決断。わずかな時間だが、舞台上の空気を濃密にするために、舞台に立ってもらうことになった。
新堀航を隊長とした連隊の一員であるが、台詞もないが、舞台空間の把握能力は十分にある禿である。連隊が更に厚みを増した。


本公演で怪我が多かった唐ゼミ劇団員であるが、いち早く回復した禿に新しい光明を見出すことになった。

rentai.jpg

<Toshinobu Adachi>


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