唐十郎フェスティバル(7) 〜連隊

2005年3月29日 Posted in 2006以前

岩本慎弥。
唐ゼミの第一期生である。第二回公演『腰巻きお仙 〜義理人情いろはにほへと編』で主演した。

彼は第二界公演以来、唐ゼミの舞台に帰ってくることはなかったが、
「唐十郎最終講義」で再び唐ゼミの舞台に立つことになった。
これは、演出の中野敦之による依頼であった。
そして、大阪公演。思いもよらないことに、彼はまた中野敦之からの依頼で舞台を踏むことになる。

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「少女都市からの呼び声」。
第一期生の唐ゼミ生は、新宿梁山泊が1999年に下北沢の本田劇場で行った公演を見ている。
この劇を見たから唐ゼミに入った人もいたようだ。
第一期生にとって、思い入れのある作品でもある。
その作品を再び見るために岩本慎弥は、横浜から深夜バスを乗って、大阪に現れた。

彼にとって、大阪公演の本番初日を見た後に、
二日目から自分が出演しているとは想像もつかなかったことだろう。
禿恵同様、連隊の厚みをさらに増すために、中野敦之が依頼したのだ。

膨れ上がる連隊。一人増えるたびに、舞台は怪我をした兵士で埋まっていく。
岩本慎弥が入ったことで、完全に舞台を埋め尽くした。もちろん、ただ人が来て埋めればいいというわけではない。
役者が入ったことが重要なのだ。
連隊のシーンの絵がどのようなものであったかは、見ていただいた方に分かっていただけるだろう。
全体を見れば、ほんの少しの短いシーンであったが、確実に観客の脳裏にそのシーンを植え付けたはずである。

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唐ゼミの舞台は、常に変化する。大阪公演の短い三日間であったが、初日、二日目、三日目と確実に進化を見せた舞台になった。三日とも見ていただいた方には、その変化を読み取っていただけるだろう。

<Toshinobu Adachi>


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