5/24(日) 醍醐味(齋藤)

2020年5月24日 Posted in 日々のこと
スタッフとしての醍醐味の一つに、「報われない」ことがあると思います。
何日も徹夜して作った道具が、一瞬でボツになったり、思いもよらぬところにダメ出しが入ったり。
こんなこと、よくあります。

苦労を知ってる周りからは、よく慰められたりしますが、
手間をかければ良くなるわけではなく、努力や労力が関係ないところ、
そこに演劇的な面白さ、醍醐味があると思います。
あと、そう言った労力を無視できるのが演出家だとも思っているので、
「大変だったのに」という思いは飲み込むようにしています。


2015年、テントではなく花やしきの劇場を借りて行った『青頭巾』の時のことです。
中野さんから受けたオーダーの一つに

「トランクからヒロインが飛び出したい、EXILEみたいに」

という物がありました。
役者二人がトランクを奪い合い、縺れ合ってるうちにトランクから飛び出てくるといったものでした。


人一人を打ち出すカタパルト的な構造とその調整。
トランクをわからない様にすり替えるための仕掛け。(穴の中からトランクの枠組みがでてくるようにしました)
何よりキツかったのは、作業場所が野外で、しかも2月。
皆は稽古しなくてはなので、寒空の下、一人で夜中まで作業していました。
半ばノイローゼみたいな状態で作業を続けること、約2週間。
今までの人生でベスト3に入る、辛い時間でした。

そして迎えたリハーサル。

奪い合ってるトランクを机の上ですり替え、枠だけのトランクを設置、
机の中に仕掛けたせりから、飛び出るヒロイン!


はっきり言って自信作でした。
複雑な仕掛けが全て噛み合い、まるでマジックの様です。
苦労した分、感動もひとしおです。
まわりのメンバーも、これは凄いの作ったね、と称賛の声。


動画が残っていたので、ここに貼っておきます。
どうぞご覧ください。













これを見て、中野さんから一言。

「暴れてたのに、カバンと机がまっすぐなの、ちょっといまいちだね。まあ、別にいいけど」



・・・・・醍醐味ですね。




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