10/26(土)知らずにお世話になった人

2024年10月26日 Posted in 中野note
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↑この方にお世話になっていたんだとわかりました

2年前に惜しくも閉店した名古屋のちくさ正文館。
この本屋さんの名物店長だった古田一晴さんが亡くなったと
ネットニュースで読みました。
一人の書店員の他界が報道される、
それだけ古田さんが偉大な存在であったということです。

私はこの報に接するまで、古田さんの存在もお名前も知りませんでした。
ただ、高校時代に演劇に興味を持った時、自分をリードしてくれたのは
古田さんが構成してくださっていた書棚であり、その後に様々な分野に
関心を寄せるようになった時も、次なる一手を古田さんに教わっていた
のだと思います。

実際、大学生になってからも、帰省するたびに自分はこの本屋に行き、
時には名古屋駅から直行して本を買ってから実家に帰ることも
あったくらいでした。ずっと名古屋にいれば古田さんとお知り合いに
なれたかも知れません。せめて一言、御礼は言いたかったと思わずには
いられません。

唐さんの本も買いました。
それこそ、沖積社から出ている金ピカの『ジャガーの眼』を高校時代に
買って、大学入学後に初めて受けた唐さんの授業が終わると、教壇に
立つ唐さんのもとに行き、サインしてもらいました。
初めて唐さんと直接お話ししたのが、その時でした。

2015年1月に名古屋で結婚式をした時、その前夜にちくさ正文館に
寄ると、なぜか、それまでには置いていなかった『水の廊下』と
『さすらいのジェニー』が忽然と現れ、しかも金文字で「唐十郎」と
サインが入っていたのには驚きました。

両方とも、出版から四半世紀ほど経ち、新刊で置いてある店は
東京のどこにもないはずでした。それが、突然に書棚に現れ、
しかもサイン本というのもおかしな出来事でした。
ずっと倉庫に眠っていたのか。
古田さんなら真相を聞けたのに、と今にして思います。

最近、よく丸の内にある丸善本店に行きます。
大きな本屋だけど、やはり自分のナンバーワンはちくさ正文館であり
ネット販売が進行する時世柄その地位が揺らぐことは無いでしょう。

古田さん、お目にかかったことはありませんが、お世話になりました。
ありがとうございました。

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