11/10(月)トロイの木馬
2025年11月10日 Posted in 中野note
↑ギリシャ軍が海神ポセイドンに捧げた、と偽るために、トライデント
=三又の矛が木馬の額に刺さっています
一昨日、昨日と藤沢でのオペラ《羊飼いの王様》公演を終え、
今日は小田原にやってきました。打合せをして、柳家三三師匠が
案内してくださるイベントに参加して、現在は帰りの東海道線に
乗っているところです。
いつもだったら車ですが、車にあんりにハードワークさせていますし、
電車だったら、この後に行う『木馬の鼻』オンライン本読みの準備も
できると考えて電車にしました。いろんなことができます。
そうそう。
最近はNetflixのドラマ『トロイ伝説』に夢中です。
二ヶ月前に岩波文庫からローマ建国の物語である『アエネーイス』が
重版されました。小躍りしてこれを買い、毎日少しずつ読んで、
前回以上の味わいを覚えました。
そこで、ウェルギリウスが本歌取りした『イリアス』も読みたく
なったのです。で、ふと見るとNetflixに、2018年に米英合作された
全8話を発見し、これを見始めました。実によく出来ています。
この作品の美点は、古代の物語である『イリアス』に、
現代人的な納得を与えようとしている点です。例えば、
有名な「木馬」をなぜトロイアが城内に引き入れたのか。
そこには、長引く戦争が引き起こした籠城戦の飢餓と、
ギリシャ軍が海神への捧げ物として木馬いっぱいに詰め込んだ
穀物が原因している、そう描かれています。
木馬全体の容積のうち、圧倒的に穀物が入っており、
構造と見られる部分にわずかのギリシャ兵が入っていた、
そういう風に合理性を与えているわけです。唸りました。
他にも、戦争の原因となったヘレネ(英語圏の作品なので、
ここでは「ヘレン」)が、なぜスパルタの王妃に収まっていられ
なかったのか。スパルタの田舎ぶり、男尊女卑の徹底が描かれ、
彼女がアヘンでうさをはらす描写に巧みさを感じます。
全体に、古代的の俗習が持つ想像力の膨らみと近現代人的な
合理性がほどよく調和していて、そのバランスが見事と思いました。
今日はこの後、『木馬の鼻』。月曜なのにたくさん参加してくださって
います。レポートはまた明日!
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