11/16(土)オルガンとネモ船長

2024年11月16日 Posted in 中野note
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↑ネモ船長のサロンの奥には、立派なパイプオルガンがあります


昨日、県民ホールでは中田恵子さんによるリサイタルを行いました。
全てバッハの作品により構成されたオルガンの演奏会でした。

バッハはオルガンという楽器にとって作曲家の王様であり、
スタンダードでもあります。ファンがたくさんいて、実際に、
中田さんとバッハと広報担当の力でチケットはソールドアウト、
終演後には「バッハのオルガン曲が大好きです」という趣旨の発言を、
多くのお客さんがしていかれました。

公演後は打ち上げとして、中田恵子さんと音楽学者の沼野雄司先生と
ご一緒して食事に行きました。そこでの会話はとても面白く、
今ではスタンダードとされるバッハの楽曲がいかに複雑すぎるか、
作曲当時の人々が理解するのには難しすぎる曲であるかという話でした。

バッハは当時も愛されたはずだ、とある人は言う。
バッハは誰にも理解されなかったのではないか、と別の人は言う。

そのやりとりが、結局はバッハの大きさを改めて示すようで、
面白い時間でした。まだ機関車も自動車も開発されていない時代に、
一人だけステルス戦闘機を作ってしまったようなものかな、
と自分は想像します。

すると、なぜグレン・グールドがバッハを好んだのか、
なぜ何度も繰り返し聴ける録音でしか演奏しないようになったかも、
分かるように思いました。

打ち上げでの話を聴いて、同じリサイタルがあったら、
また違った主観で鑑賞できるでしょう。もういっぺん、
どこかでオール・バッハやらないかな。そう思います。

帰宅後、夜中にここ10日ほど読んできた『海底二万里』を読み終えました。

ネモ船長も、大事な場面でオルガンを演奏します。ラストシーン間際、
主人公のアロナクス教授がノーチラス号を脱出する時にも、ネモ船長は
演奏をしています。どんな作曲家の、何と言う曲かは書かれていません。

唐さんにとって、『煉夢術』『行商人ネモ』『ガラスの使徒』に影響を
与えたネモ船長。『煉夢術』と『ガラスの使徒』にはそのままオルガンが
出て来ます。『宝島』とか『白鯨』とか、唐さんが好んだ名作中の名作を
読み直すと、その時に応じた発見があるものだと実感し、良い時間でした。



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