2/15(土)保土ヶ谷にて

2025年2月16日 Posted in 中野note
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↑右側の数行のなかに、唐十郎新作公演「黒いチューリップ」の文字が
あります

先日、古本屋サイトで、1983年のアサヒグラフを発見しました。

唐さんとアサヒグラフとは1970年台前半に行った海外遠征の記録を
皮切りに、多くの資料を残しています。

『ベンガルの虎』のバングラデシュ公演、
『唐版 風の又三郎』のパレスチナ公演、
そういったお金にならない海外公演の軍資金を、唐さんは紀行文を
書くことで得ていたのです。その恩恵に預かって、私たちには資料が
残されている。

ところが、1983.2-25増大号にも公演の記録があったことが明らかに
なりました。対象となったのは、『黒いチューリップ』公演。
さっそく取り寄せてみると、なるほど、今までに見たことのない
立派な写真が載っています。

しかし、自分にとってさらに重要だったのは、次の文章でした。

状況劇場の主宰者・唐十郎が芥川賞を受賞。
その受賞第一作の「伸子の帰る家」と現在西武劇場で上演中の
新作「黒いチューリップ」とは、同じ一つの素材を小説と戯曲とで
書きわけたものである。

・・・今まで私は、受賞後に書いた作品は『御注意あそばせ』
なのだろうと思い込んできました。しかも、唐ゼミ☆で上演した経験の
ある『黒いチューリップ』に、それと照応する小説があったなんて。

実は、唐さんの小説については、自分はあまりきちんと読みきって
いない節があるのです。そのことを猛省しながら調べてみると、
『伸子の帰る家』は『安寿子の靴』という短編小説を集めた単行本に
載っており、さっそくにこれを読みました。

『伸子の帰る家』のなかで、唐さんは三度、保土ヶ谷駅周辺の
スナックを訪れ、くだんの伸子を乗せたタクシー運転手の「宮地さん」
に聞き取り調査を行なっています。劇では「菊地」となっている
キャラクターです。

細かいことはさておき、自分はこのことをもっと早くに知るべきでした。
大学入学以来の自分の住所は横浜市保土ヶ谷区であり、横浜国大だって
保土ヶ谷区なのです。大学時代にこの小説を読んでいれば、大学から
唐さんと少し脚を伸ばして、どのあたりのスナックに行ったのかも、
さほど難しくなく伺えたはずです。悔やまれてなりません。

明日、散歩をして、保土ヶ谷駅周辺に行ってみます。
唐さんが訪ねたスナックがどのあたりにあったのか、想像するためです。



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