6/24(火)新発見!唐さんによる太宰治の朗読CD

2025年6月24日 Posted in 中野note
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いつも行っているネットサーフィンに面白い資料がかかりました。
太宰治作品を俳優たちが読むのを収めたCD15枚のボックスセット。
その最終巻で『家庭の幸福』『桜桃』を唐さんが朗読しているのです。

もともとは1988年に岩波からカセットテープで出ていたものが、
増補して2005年に復刊されたのが今回、手に入れたボックスです。
早速聴きました。

他の巻は、仲代達矢さん、西田敏行さん、寺田濃さん、岸田今日子さん、
吉行和子さんら、錚々たるメンバーが朗読にあたっています。
彼らを向こうに回すと、唐さんはいつもの高音・早口、
「はひふへほ」が「さしすせそ」になる江戸っ子ぶりでかなり独特です。

が、他の方々が『斜陽』『ヴィヨンの妻』『走れメロス』など小説を
読んでいる一方、唐さんが担当したのはエッセイなのです。

しかも、作家が創作と家庭の間で揺れた挙句、露悪的な自己中心性に
走るという内容なのです。こうなると、一人だけ作家である唐さんの
読みが不思議なリアリティを帯び始めます。

『桜桃』の最後の方など、唐さんが得意な『さすらいの歌』のように
ハードボイルドな匂いがしてきます。

他方、唐さんがどの程度、太宰さんに共感したかは謎です。
なぜなら、唐さんは掃除や料理などもまめまめしくする、
甲斐甲斐しい家庭人でもあるからです。
唐さんにはご存知の蛮勇はありますが、破滅的な感じもあまりしません。

と、聴きながら色々なことを考えました。
皆さんにもぜひ聴いてもらいたい逸品です。

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