6/4(水)蚊のはなし
2025年6月 4日 Posted in 中野note
↑明治大学特任教授としての初回講義に、唐さんは蚊帳をつって臨んだという
ことができませんでした。一日にこれだけ読むと決めた、6割で出かけることに。
結果、夜に続きを読みました。先ほどまで。
が、難敵が現れたのです。
机の上に広げた台本の原本やパソコンと向き合っていると、どうにも脚に
まとわりついてくるのが、蚊でした。仕方なしに作業を中断して床に座り、
じっと空間に目を凝らして、蚊の姿をとらえました。
それから、手のひらで挟みつぶそうとトライすること5回で、
ようやく仕留めました。10分は中断してしまった。
安心して再び『住み込みの女』と向き合っていると、どうにも痒い。
先ほどの蚊に刺されたところが疼くのかと我慢しながら
集中、集中と言い聞かせましたが、ハッと気づくと、
腕のあたりにもう一匹まとわりついている。
最初から2匹いたとこの時点で認識し、こいつを始末するのに、
さらに10分の中断を余儀なくされました。
蚊の一匹や二匹にこうもすべてを支配されるなんて。
蚊といえば思い出すのは『東海道四谷怪談』で、
主人公の田宮伊右衛門は、遊び金に窮して、女房お岩の止めるのも
聞かず、蚊帳を売ってしまうシーンが好きだと、唐さんは言っていました。
いま思えば、上下水の整備が現在よりはるかに劣っていた江戸の夏には、
信じられないくらい多くの蚊がいたことでしょう。乳飲み児かかえたお岩に
とって、蚊帳とは赤ん坊を守るための生命線だったのです。
その生活の重さが嫌で、ますます自棄に暮れる伊右衛門。
人間のどうしようも無さが露わになるシーンです。
そうして蚊帳は、『少女都市』における重要アイテムになったものと思います。
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