9/19(木)ヴェルディの片手落ち

2024年9月19日 Posted in 中野note
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今日は仕事を終えて夜に時間ができたので、
思い立ってオペラシティに行きました。目的は『マクベス』です。
といっても芝居ではなく、オペラ版の『マクベス』をコンサート形式で
上演するので勇んで行ったのです。この演目の初見でした。

マエストロ・チョン・ミュンフンの指揮のもと、
歌手も東京フィルハーモニーの演奏も演出も素晴らしかった。
必要最小限の道具立てで、スピーディに展開するドラマが最大限に
浮き彫りになるよう、道具の出し入れも照明も衣裳も計算され尽くして
いました。上演としては申し分ありません。

他方、自分はヴェルディの作曲に不満を感じました。
マクベス夫婦が王位を奪った後に張る宴会の軽妙さと、
マクベスがバンクォーの亡霊に苛まれるコントラスト、
特に前者の明るさはさすがだと思いましたし、マクダフとの最後の
決戦、あの「女の腹から生まれていないゾ」と言い張るところの
バカバカしさに当てている曲がとても良かったのですが、
終盤の見せ場である、マクベス婦人の狂乱とマクベスのモノローグの
扱いは、はっきり言って失敗ではないかと思いました。

ヴェルディは稀代のヒットメーカーであり、言うまでもなく
巨匠なのですが、肝心なところで原作の活かし方に不足が
あるように受け止めました、それにしても、上演は素晴らしかった。
作品の不足を補ってあまりある、生きている人間が試行錯誤している
活力を味わいました。

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