9/20(土)『唐版 風の又三郎』三幕 対面WS 2日目
2025年9月20日 Posted in 中野note
↑「本読み」なので見た目に地味ですが、思い描く世界は壮大です
読んだ箇所としては、尼僧に化けた「エリカ」が「教授」らに発見され、
やがてニコライ堂からの電話により地獄の景色に飲み込まれるところ。
「エリカ」はそのなかで死んだ「高田」に口説かれ、地獄に誘われます。
そして、「織部」を傷つけて、「織部」の血を「高田」に返すよう
迫られます。
二幕で、「高田」の肉を食べた「エリカ」の血を「織部」は飲んで
いますから、「高田」のエキスは今、「織部」に入っているからです。
もともと好きだった「高田」に迫られ、逡巡する「エリカ」でしたが、
すんでのところでその誘いを退け、「エリカ」は「織部」を選びます。
「エリカ」に、「織部」でなく自分を傷づけられた「高田」は身悶え
ます。が、実はそれは、「エリカ」がニコライ堂からの電話によって
見た悪夢で、現実には、通報を受けて訪れていた「自衛官たち」を
傷つけていたことが分かります。
ここまで進むと、この劇の骨格だった物語にケリがつきます。
すなわち、「エリカ」の「高田」を目指す冒険は、変わり果てた
「高田」を思い切り、「織部」とともに生きる道を選ぶことで決着する。
が、「教授」たちは納得しません。
彼らは、二幕の「エリカ」が人の肉を食べたことを執拗に糾弾します。
(八戸伝説)
そこへ、「夜の男」が合流し、今や恋敵となった「織部」を、
罠を仕込んだ決闘の果てに傷つけます。「織部」の腹を「ナイフ」で
刺してしまう。勝ち誇る「夜の男」でしたが、途端に「桃子」に
刺され、地に臥す。これから収監されるであろう「桃子」を前に、
「梅子」は泣き笑いし、「宮沢先生」は「織部」の傷に動転。
「自衛官たち」は責任逃れにこの場を去ります。
「教授」は「夜の男」を喪った腹いせに、「三腐人」らは、
今また殺人事件が起きたことによるさらなる人生の転落を予期して、
「エリカ」を傷つけます。彼女を石打ちの刑に処す。
・・・という流れを丁寧に確認しながら読みました。
あとは、深く傷ついた「エリカ」と「織部」が見る世界です。
そこに二人しかいないことを思えば、彼らは「すでに死んでいる」
とも言えます。が、二人はそのような過酷のなかで、お互いを
「風の又三郎」と「読者」とし、飛行機が飛ぶことを夢みます。
彼らが他の登場人物たちと違うのは、唯一「同じものを目指す」
ペアであるということです。
一人では難しいけれど、
二人が共同の幻想を持つ時、それは幻想でなく現実になるのだ、
ということが、この『唐版 風の又三郎』が語るメッセージのキモ
です。
と、ここまで確認しながら読みました。
明日は、要所を再確認するウォーミングアップの本読みを経て、
通しリーディングを行います。
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