9/21(日)『唐版 風の又三郎』三幕 対面WS 3日目

2025年9月21日 Posted in 中野note
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↑堕天使ルシファーが沈められる時にできた円すい形の空間が「地獄」
というのが、ダンテ『神曲』の基本設定です。同じく、「ニコライ堂」が
沈むと「地獄」が現れるので、死んだ「高田」がよみがえるわけです


今日は『唐版 風の又三郎』三幕 対面WSの最終日。
体調不良の方やもともと欠席希望の方を除く12人の方にご参加いただき、
本読みによる通し稽古を行いました。

まずは、ウォーミングアップがてら、要所のおさらいから。
三幕で私が特に要注意点だと考えるのは、
尼に化けた「エリカ」の登場後、舞台である御茶ノ水駅前の公衆電話に
電話がかかってくるところです。ニコライ堂が陥没していることが
伝えられると、死んだ「高田」が現れ、「エリカ」にヒコーキに
乗るよう誘いかけます。

三幕序盤で、ヒコーキ=棺だと説明がありますから、
すなわちそれは「自分を追って死んでくれ」というメッセージに
他なりません。二幕では「死の少年(やがて死の花嫁)」を選んだ
「高田」が、「エリカ」の心が「織部」になびくと見るや
強烈に追ってくる。このあたりに嫉妬のリアリティがあります。

やがて「エリカ」は、「高田」か「織部」かの選択のなかで
「織部」を選び、「高田」をガラスの破片で斬りつけることになる。
けれど実際には、「エリカ」は電話ボックスの中にいた「自衛官」ら
を「高田」間違え、斬りつけていた、というオチがつきます。

この間、約10ページ。
「エリカ」が「高田」を幻視したこのシーンにより物語は急激に
ドライブします。ここは「悪夢」、他は「現実」、そういう切り分けを
きちんと付けると話がより整理されるので、おさらいしました。

あとは、もう一度、一幕冒頭の、
「エリカ」による帝国探偵社の面々への「又三郎」の名乗り、
初めて「織部」が「エリカ」を見かけ、「又三郎」と呼びかけるところ、
三幕の最後のせりふ、劇中歌を確認し、通し稽古に臨みました。

70分かけて読み、その後に要所や改善点を伝え、皆さんに感想を
聞いて、全体のお開きとしました。

今年1月に一幕を始め、4月末の二幕を経ての第三幕です。
飛び飛びですが、「あらすじ」などを用意して物語をつなげながら
最後までやってきました。

劇団として初めての試みでしたが、本格的に台本全編を勉強する
対面WSは私にとっても、物語全体を味わい、細部を確認する重要な
機会になりました。全三回を通して、一度でも参加してくださった
皆さんに感謝します。どうもありがとうございました。

好評だったので、次回を計画中です。
2026.1.10(土)11(日)12(祝月)から出発して、再び三幕物に
取り組みたいと考えています。演目は思案中。
近日中に発表しますので、これからもよろしくお願いいたします。

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