9/2(月)『お化け煙突物語』本読みWS 第5回 その②

2025年9月 2日 Posted in 中野note

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↑コウモリホテルの内部。真ん中のイスが逆さなのは、コウモリたちは

逆さまの方が安らぐから。というホテルなのです



昨日の続き、オンラインWSのレポートとして二幕に入ります。


二幕は、テント劇場内の花道で「探偵」「大塚の息子」が語り始める

ところから始まります。二人は、トロッコになって走り去ったベッドを

追ってきました。「探偵」は「カイ」を追いかけ、「大塚の息子」は

「大塚の母」を追いかける。いずれも、「蟬丸」「とかげ丸」「蜂丸」の

三盲人によって連れ去られてしまったのです。


「カイ」に必殺の流し目を受けたことで、「カイ」に近づくと

「探偵」の首筋がうずくようになっている。これがセンサーの役割を

果たすことで、「探偵」は追跡を成功させます。

花道の小さなスポットライトのエリアを男二人が奪い合いながら

せりふを言い合う、ギャグシーンでもあります。


辿りついた先は、もとはお化け煙突のあった場所、

盲人たちがたむろする「コウモリホテル」でした。


ここは盲人たちが愛用するホテルらしく、暗闇で、

しかも客室といえば丸太が渡されているだけなのです。

ここに、盲人たちはコウモリよろしく逆さまに足捕まりして

羽を休めている、という驚きの宿泊施設です。

そして、役者たちは逆さまにぶらんとしながら「コウモリホテルの唄」

を大合唱するという、これもまたギャグシーンでもあります。


その後は、ずっと逆さまだと頭に血が昇ってしまうので、徐々に解除。

ここで、盲人たちは浣腸注射器4本をありし日のお化け煙突の

ミニチュアとしてそれを眺めながら(盲人なのにどうやって?)、

「人間」について語り合います。

すなわち「人間は四つまでしか数えられない」という法則を

蟬丸は熱弁振るうのです。


蟬丸が持ち出す四項目は以下の通り。


①「私は出かけるために着替えよう」

② 「何故、出かけるからって、汽車に乗ったからさ」

③「もちろん仕事に行くために汽車に乗るのさ」

  「私は、生活をたてるために仕事に行かなくちゃならないんだ」 


この四つの言葉を紹介した後、蟬丸は盲人たちをテストします。

例えば、


Q.「何で出かけた」→正解は「電車で」

Q.「なぜ仕事にいくのか」→正解は「生活をたてるため」


という具合なのですが、盲人たちはこの問いに正解することが
できません。なぜながら四つの項目を憶えることができないからです。

つまり、三つ目を聞けば一つ目を忘れてしまう。次の項目を聞くと

その直前くらいはわかるが、その前の前は記憶できない。

そして、頑張って頑張って、せいぜい憶えていられるのが

四項目が限界、という真理に辿りつきます。


そういう意味で、4本により構成されるお化け煙突は人間の知覚機能

を体現していると、盲人たちは納得します。ゆえにこそ、自分たちは

どうしようもなく、お化け煙突に惹かれる。自分たちの情愛がどこから

来るのかを確認するのです。そして、ホテルの奥へ去ってゆく。


と、そこへ「探偵」と「カイ」がやってきます。

「カイ」はコウモリホテルにたどり着く前、盲人たちに殴られて

トロッコベッドから落ちてしまった。だから、「探偵」の濡れた靴を

氷嚢がわりに使って殴られた目を冷やしています。

そして、このままではベッドがダイカスト・メッキ工場によって

金属に戻され、別の製品に変えられてしまうと危機を募らせます。


コウモリホテルの罠を抜け、ベッド奪還をテーマとする二幕の序盤は

こういう感じでした。続きは9/7(日)19:30から。




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