12/20(月)『吸血姫』ワークショップレポート(中野)
2021年12月20日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『吸血姫』
昨日のお昼に青砥に行きました。『吸血姫』一幕では、看護婦長が
青砥や足立区に対して、興味深いせりふを吐きます。
というか、働いています。彼女はマグネットワールドという劇団に
参加させてもらって、日本各地を巡業しているのです。
年末まで各地の学校を訪問して公演。佐々木は恵まれています。
どんどんやって欲しい。
そのようなわけで、私がレポートします。
昨晩から、『吸血姫』は二幕に入りました。
まずは、一幕の振り返りから。
「高石かつえ」に始まり、同僚の看護婦たち、
看護婦1の情夫である「中年男」、「看護婦長」、
歌謡界の鬼「花形」、歌手を夢見る青年「肥後(ひご)」
と出揃ったところ、でいよいよヒロイン「海のほおずき」が登場。
最後に、愛染病院の若院長「耕三」が登場します。
江ノ島にある愛染病院が東京都足立区に献血自動車を引っ張って
やってきているという設定、上記の役柄の顔見せがキモ。
ついでに云うなら、芸能界を夢見る高石かつえの発狂と転落から、
何やら怪しげな愛染病院の裏家業を匂わせ、
海のほおずきが、可憐でありながらもかなり謎めいた、
もっといえば、どこか怪しげ看護婦であることを伏線して一幕は完了。
特にほおずきが最後に言うせりふ
「ほら、見えるでしょう! 関東大震災が!」
という彼女の幻視(インパクト大!)の原因が、
今回から取り組む二幕で明らかになります。
さて、二幕の冒頭は看護婦長による『人魚姫』の朗読から始まります。
これはもう『続ジョン・シルバー』の幕開きと一緒。
作品的に『続ジョン・シルバー』→『少女仮面』→『吸血姫』は
一直線につながっていると私は考えますが、この辺りは典型的です。
そこへ、中年男が入ってくると、婦長はナースたちを人払い。
怪しげな相談に入ります。彼らのやりとりによると、
中年男に課せられたミッションとは、少女たちの夏の過ちによって
生まれた子どもの死骸を背負って炎天下の往来を歩き、その腐臭によって
若き乙女たちに純潔を促すことらしいのです。
こんな不幸を起こしてはいけないよ、と伝え、
新人看護婦をスカウトしてくることが中年男の使命らしい。
彼が去ると、今度は耕三先生と、彼が不倫の果てに引っ張り込んだ
バーバー・アメリカ屋の女房「ユリ子」に痴情のもつれが起きます。
今や海之ほおずきに惚れ込んだ構造はユリ子を厄介払い、
揉めた挙句にユリ子を絞殺してしまいます。隠れる耕三。
そこへ、今度は花形がやってきて婦長との会話が始まり、
二人の親密さを伺わせます。どうやら資産運用をめぐって情報交換を
している様子。そこに耕三も加わり、花形と耕三とは幼馴染であり、
「高石かつえ」の人身売買を共謀して行なったことが明らかになります。
昨晩はここまでで終了。二幕でヒロイン「ほおずき」が登場する前段が
整ったところで、お開きになりました。
要点としては、愛染病院がいかにも怪しい組織であることが
明らかになってくるのが、この二幕の始まりです。
耕三、花形、中年男、看護婦長の四人が行なっている悪事について、
また、今しもその矛先が海之ほおずきに向けられようとしている。
というような内容でした。
他にも、前後にはシアターコクーンで上演中の『泥人魚』を
唐さんが書かれた時のエピソードなど披露しました。
『泥人魚』の内容については、参加者の多くが観劇後になる次週に、
またお話ししたいと思います。
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