2/18(木)ワークショップレポート(佐々木)

2021年2月19日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『盲導犬』

みなさんこんにちは。佐々木あかりです。

本日はワークショップレポートをお送り致します!


今週はヒロインの銀杏(いちょう)と、

自分の盲導犬ファキイルを探す男、破里夫(はりお)の会話から

ワークショップがスタートしました。

先週疑問に終わった、ロッカーの中にあるラブレターの謎も解決!


銀杏は今まで台本上「女」という役名でしたが、

銀杏の『誰かがあたしのことを中傷したの?』という台詞で

ついに「銀杏」に変わります。

これは、『おまえ、男を待ってるんだろ?』と

偶然出会った破里夫に言われ、空気が変わったからです。

確かに、さっき初めて会ったばかりの人に元彼の話をされたら

誰だって驚きますよね。


なぜ破里夫はそこまで知っていたかと言うと、銀杏が過去に

ラジオに昔の恋人への想いの人生相談と、『カナダの夕陽』

という曲のリクエストをして、

そのリクエストが反響を呼んで何度も何度も放送されていたからでした。

そして銀杏がコインロッカーに通っているので、(少し異常ですが)

破里夫には自分の前にいる銀杏こそ

ラジオに人生相談を送った女であるとわかったのです。


そして話題は銀杏の夫の話になっていきます。

銀杏曰く旦那さんはバンコックの安キャバレーの女に

後ろから銃で打たれて死んだそうです。

その話をするあたりで"ユーモア"と"ノーモア"という言葉が頻出する。

これは、1969年『少女都市』上演中に寺山修司さんから

葬儀用の黒い花束が届き、寺山さんは「ユーモアだ」と言ったのですが、

新聞の誤植で"ユーモア"が"ノーモア(未来なし)"になってしまい、

劇団員同士で乱闘になり警察沙汰になった騒動がありました。

唐さんはその事を戯曲に書いたのです。

当時の観客ならば皆さん知っている事だったらしいので

きっとこのせりふで笑いを取っていたのでしょうね。


そして、ここでロッカーの中にあるラブレターの謎が解決します。

銀杏の旦那が南に向かう朝、妻に操(ミサオ)を守らせるため、

少女時代の日記から出てきた過去の恋人からのラブレターを

330(ミサオ)番の中に入れて鍵を閉め、その鍵を持って、

毎日100円を入れる事を銀杏に科して南に行ってしまったのです。

そして、そのまま死んでしまった。


・・・異常ですね。現実にはあり得ない設定です。

だって、ロッカーを管理する会社に問い合わせれば、

そのような事情なら必ず開けてもらえるはずです。

でも、それでは劇が成立しなくなるので、ここでは言いっこ無し。


中野さんによれば、唐さんはそういうことも充分に

心得た上で書いているはずだそうです。



「全てなんでもあり」ではなく、

きちんと私たちが生きる現実の世界の常識や価値観に立ちながら

「この事は話を広げるために無しにしたんだな」と考えるのは、

上演を支離滅裂にしないためにとても大切だことなんだそうです。

(そういう唐作品上演がけっこう多いのだそうです)


私自身、このロッカーの話は、夫が南に向かう朝に2人がした会話を

銀杏が1人で語るのですが、声にするのが非常に難しいせりふでした。

と言うのも、旦那のその時の状態と、その言葉を受ける銀杏自身の状態、

どちらも伝えなければいけないのです。

(上手くいきませんでしたが勉強になりました)


そして銀杏の過去の話をする2人の元に犬を連れてフーテン少年が戻って来る。

余談ですが、この場面は犬の事を角川文庫では『犬』と書いてありますが、

唐ゼミ☆が上演する際、唐さんが面白いからと『リンチンチン』に書き換えたそうです。(印象が全然違う!)

フーテンが連れてきた犬は、破里夫が探す『ファキイル』ではなくフーテンが犬屋から盗んできた犬でした。

彼は警官と婦人警官と犬屋に追われ、見つかってしまいます。

3人は交番に連れて行かれそうになってしまいますが、そこに盲導犬学校の先生と研修生たちがやってきます!


来週はここからスタート!

来週もよろしくお願いします!


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唐ゼミ☆上演時のリンチンチンと銀杏(禿さん)


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