2/4(木)ワークショップレポート(佐々木)
みなさんこんにちは。佐々木です。
本日はワークショップレポートです。
オンラインワークショップ「唐十郎戯曲を読む」今週から『盲導犬』です。
今回が初回ということで、まずはこの戯曲が書かれる経緯の説明から始まりました。
『盲導犬』は、澁澤龍彦さんの『犬狼都市』("キュノポリス"と読みます)が原作で、
1973年に蜷川幸雄さん率いる「櫻社」に書き下ろされた作品です。
かつての蜷川さんは「劇団青俳」で俳優をしていましたが、
1967年に退団、「現代人劇場」を結成します。
1969年に『心情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。
しかし1971年に「現代人劇場」は解散。
思うようにいかなかった蜷川さんは、
1972年の春「状況劇場」が不忍池で上演した『二都物語』を観劇、
感銘を受け唐さんの演出助手になろうかと考えたそうです。
しかしそんな蜷川さんに唐さんは
『蜷川くんに戯曲を書くよ』
『現代劇がいい? 時代劇がいい?』
と声をかけ、その数日後出来上がった作品がこの『盲導犬』で、
蜷川さんは「櫻社」を結成、73年春に上演します。
(数日で傑作を書き上げてしまう唐さんは本当に凄い!
実は私も劇作に挑んだ経験がありますが、半年かかって結局書けませんでした)
さてここからが、ワークショップの内容のレポート!
この戯曲は、天から聞こえてくる「盲導犬についての質問」に
五人の愛犬教師が答えていく場面から始まります。
そこに盲導犬「ファキイル」を探す、盲人の影破里夫(えい-はりお)がやって来ます。
愛犬教師曰く、盲導犬は飼い主に"服従"する事から教えるので、
本来であれば犬が飼い主を置いてどこかにいなくなることも、また飼い主が犬を探すことはありません。
この破里夫とファキイルの関係性、"服従"と"不服従"がこの戯曲のポイントです。
そのあと登場する、フーテン少年と婦人警官では、婦人警官は規律を守らせ、"服従"させる立場です。
しかし、シンナーを吸っているフーテン少年に情けをかけた婦人警官は、彼を逃がしてしまう。
このやりとりに立ち会った破里夫は、フーテンに声をかけます。
犬を探す破里夫と盲導犬ファキイルの関係は、犬が服従しているのではなく、
ファキイルに破里夫が服従していることがわかります。
犬に服従する飼い主と不服従の犬、ファキイル。
常識的ではない破里夫の盲導犬との主従関係。
余談ですが、影破里夫はハーマン・メルヴィルの
『白鯨』に出てくるエイハブ船長が名前の由来だそうです。
(あまりに強引でビックリ!)
映画終映後のアートシアター新宿文化で上演されるのを
想定した戯曲なので、場面転換のない一幕もの。
すこし短めの作品ですが、これから話が展開していくので楽しみ。
来週はいよいよヒロインの登場するシーンから始まります。
次週もよろしくお願いします!
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