3/27(月)『愛の乞食』本読みWS 第2回レポート(中野)

2023年3月27日 Posted in ワークショップ
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↑ガートマンを演じる重村大介(一番右)。今は唐組で活躍する重村にとって
この役は学生時代に初めて演じたメモリアルな役柄だった。
『透明人間』ガンバレ!


『愛の乞食』第2回目の本読み、ちょっとずつ進めています。

昨晩は、ガードマンの登場する場面から始めました。
善良な市民である老ガードマンが仕事の合い間に公衆便所に
用を足しにきたところ、「ミドリのおばさん」である元海賊の尼蔵に
理不尽に怒られる、というシーンです。

この場面、常識的にはガードマンである老人の方が正しいわけですが、
公衆便所を私物化している尼蔵が口八丁と強引さで押し切ってしまうのが
コミカルな見応えにつながります。

そのうち、常識人に思えたガードマンが家庭内に抱えた問題が浮かび上がり
市政の人の中に狂気が宿っていることがわかってきます。

具体的には、宇津井健主演のドラマ『ザ・ガードマン』が大ヒットしたことで、
同じ「ガードマン」である彼はドラマの主人公に比較された挙げ句、
家族から散々な目に遭わされる。奥さんや息子にバカにされ、
鞄を雨の降る屋外に投げ出されたり、結構な虐待に遭っています。

そして、「悔しかったら宇津井健のようになってみろ」と息子に罵倒された
彼はテレビ局に乱入、生放送中のドラマに飛び入りで出演しようとしたところを
すんでのところで静止された、という失敗談が語られます。

普通の人の中に潜む異常性をあぶり出す。唐さんの手腕です。

それから、ヒロインである万寿シャゲが登場します。
彼女が登場すると都会の公衆便所があっという間に朝鮮キャバレーに様変わり。
学習院中等科2年生、つまり14歳を名乗る彼女に主人公・田口は圧倒されます。
年上かつ社会人であるはずの田口より、ミドルティーンに差し掛かったばかりの
万寿シャゲの方が歴然と世慣れている感じ。
彼女の口ずさむ歌からは、戦時下、日本人兵士たちに乱暴された
痕跡まで漂います。

一方、イザリのチェチェチェオケラという名前のカタコトの男が登場すると
舞台は怪しさを増します。尼蔵、万寿シャゲ、オケラの三人が背負った
過去が謎めき匂い始めたところで、昨晩は終了。

次回は、尼蔵とオケラの会話の分析から再会し、
彼らが体験した太平洋戦争下に注目しながらシーンを進めていきます。


ちなみに、昨日は初参加の方もいて、
どんな唐作品を観てきたのか伺ったりもしました。
私が紅テントを観ることができたのは1999年が初めてですから、
その時点で唐さんのキャリアは35年を超えています。
ですから、ひとりひとりの目撃証言が大変に貴重。
私にとってはそういうエピソードを聞けるのも、このワークショップの大きな効能です。

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