4/3(月)『愛の乞食』本読みWS 第3回レポート(中野)

2023年4月 3日 Posted in ワークショップ
愛の乞食_082のコピー.jpg
↑集まってきた元海賊たち。2010年『愛の乞食』唐ゼミ☆公演より

『愛の乞食』本読みが続いています。
昨晩は第3回。公衆便所を占拠して開店した朝鮮キャバレー「豆満江」に
元海賊たちが続々と集まってくる場面、一幕の終わり部分を読みました。

太平洋戦争前、戦中に中国・朝鮮・日本海を股にかけて
活動した海賊の頭目らしき「ミドリのおばさん=尼蔵」と
かつての仲間らしき「チェ・チェ・チェ・オケラ」の密談が交わされます。

彼らは表向きにこやかですが、どうもオケラは尼蔵に酷い目に
遭わされたらしい。尼蔵はさんざん働かせたオケラを分け前欲しさに裏切り、
それがために分け前に預かれなかった恨みを抱いてオケラはやってきた。
そんな気配が漂います。しかし、責められるはずの尼蔵は
悪党の凄みを効かせてここでもオケラを丸め込んでしまう。

このあたりは会話の妙であり、またオケラがいつも割りを食う
キャラクターとして愛嬌を発揮するところ。

また、尼蔵とオケラが保険のセールスマンである田口をからかって
会話する場面では、田口の母親が「小春」という名であったことが分かります。
その名を聞いた途端、言葉を失う尼蔵とオケラ・・・

ここで、一転。
前回のシーンで撃退されたガードマンが刑事たちを連れてきます。
公衆便所を占拠してガードマンをバカにした不届者を取り締まってもらおう、
そう考えたわけです。

しかし、実は、ここで登場した刑事2人こそ、
もともと尼蔵一味だった「馬田」と「大谷」。
正体を明かし合っては意気投合する彼らにガードマンはなすすべなく、
またも撃退されてしまいます。

尼蔵、馬田、大谷、オケラの四人が揃い踏み。
ヒロイン・万寿シャゲは何やら意味深な女であることも匂わせられる。
朝日生命の田口は、都会の一角で繰り広げられる悪党たちの
集会に圧倒されるばかり。盛り上がる元海賊たち。

と、そこへ、荒くれ海賊たちが束になっても敵わなかった一本足の男
=シルバーの影がよぎります。お馴染みとなった歌声とともに、
シルバーの足音が近づいてくる。
『ジョン・シルバー』シリーズの前半において定石となった終わり方です。

「小春」「一本足の男=シルバー」とシリーズに関わる重要人物が登場したので、
来週は『愛の乞食』をお休みして、一旦、シリーズのおさらいをします。

具体的には、『巷談絵巻ジョン・シルバー』『ジョン・シルバー』
『続ジョン・シルバー』の3作をダイジェストで読み、
小春とシルバーの越し方を振り返りながら、『愛の乞食』の田口が
小春の息子であるとはどういうことかを考えてみます。

次週のは4/10!

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