4/9(木)ワークショップ in ハンディラボ
2020年4月10日 Posted in ワークショップ
ハンディラボに引っ越して初めてのワークショップです。
時節柄、いらっしゃるのも難しいだろう、
かくなる上は林麻子と二人で気になる場面の研究をしようと思って
いましたら、お一人、やってきて下さいました。
この場所は、初めての方にはなかなかアクセスが難しい場所なのですが、
スマホのナビ機能とは大したもので、最短距離を駈け付けて来られた
とのことでした。
ありがたい!
かくなる上は全力を尽くそうと、
普段は大工仕事などをする倉庫の一角で潤沢なスペースを使いながら、
さらに入り口の巨大な扉を開け放して、稽古を始めました。
お題は、『唐版 風の又三郎』1幕、
台本全体を貫く物語のキッカケとなった、自衛隊員による
ヒコーキ乗り逃げ事件に触れる件です。
唐さんは、1973年6月に実際に起こったこの事件を受けて本作を構想。
乗り逃げた自衛官に、宮沢賢治の『風の又三郎』に登場する
「高田三郎」の名を当てたのです。
乗り逃げた高田の死の謎を追い、
彼を追いかける女・エリカは正体を隠して、
今では帝国探偵社に務める高田の元上司「教授」に対峙します。
なかなか本題を切り出せず、むしろ教授に怪しまれたエリカが
追い詰められ、ついに「高田」の名を切り出す場面をやりました。
自分を自衛隊から更迭に追い込んだ事件に触れられた瞬間、
教授の表情は一変。
「自分の上空を今もあのヒコーキが飛んでいる」
と叫んで狼狽するのです。
「高田三郎」「乗り逃げ事件」というキーワードを境に、
エリカと教授の攻守が切り替わる、とても面白い場面です。
特に「高田三郎」の名が初めて切り出されるところに注目しながら、
4ページほどを1時間半かけてやりました。
ちなみに、これはワークショップ中にも力説したのですが、
元自衛官たちの再就職先を「帝國探偵社」にした唐さんの発想は卓抜です。
自衛官を辞めさせられて尚、彼らが誇り高い旧職場にいかに思い入れがあるか、
"帝國"という言葉から伝わってきます。
同時に、「探偵社」はもちろん"帝國"とは何の関係もなく、単なる私立の一企業。
「教授」や「三腐人」らの忸怩たる思いもユーモラスに伝わり、
さすが唐さんだと唸らされる設定です。
ワークショップは途中から肌寒くもなりましたが、お互い多いに熱が入り、
まばらな雨の中、「普通の風邪にも気をつけましょう!」
と言い合って散会になりました。
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