5/2(月)『蛇姫様 わが心の奈蛇』本読みWS第1回レポート(中野)

2022年5月 3日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『蛇姫様 わが心の奈蛇』
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↑唐ゼミ☆2010年春公演『蛇姫様 わが心の奈蛇』より(撮影 伏見行介)

新たな演目『蛇姫様 わが心の奈蛇』のWSが始まりました。
今回も大長篇です。7/31まで3ヶ月間、全13回をかけて取り組みます。

毎度のことですが、初回前半は説明に終始します。
執筆当時の唐さんがどうであったか。
特に1974年に『唐版 風の又三郎』を発表して以降、
3年間の様子を追います。

・『夜叉綺想(74)』『腰巻おぼろ 妖鯨篇(75)』などの長編が続く
・間に大久保のロケット工場での『糸姫』も挟まる
・『唐版 滝の白糸(75)』『恋と蒲団(76)』といった外部への仕事
・映画『任侠外伝 玄界灘(76)』は唐さんを燃焼・消耗させたであろう
・『下町ホフマン(76)』で鷹さんが退団したのは痛恨時だっただろう

そして、1977年春の本作。紅テントを初めて10周年ということで、
期するものがあったのではないか。
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』の終幕にこんなシーンがある。
悪役・ドクター袋小路の正体は、病院の裏の竹藪に棲む青大将だった。
これがことが、"蛇"になぞらえられた過酷な出自を持つ人々を描いた
着想の源だったのではないか。
ヒロインの"あけび"が亡くなったお母さんの出自を求めて彷徨うのは、
『腰巻〜』の主人公、母を求める"忠太郎"のアレンジではないか。

という私の類推の他に、
小林薫さんが悪役として伝説的な輝きを放ったこと、
大女優だった清川虹子さんが60歳を過ぎてゲスト出演していたこと、
などを説明しました。

その上で、ぜひ押さえて欲しい作品として下記作品を紹介。

・川口松太郎の小説を原作にした映画『蛇姫様』を
・朝鮮戦争中に小倉で起きた事件と米兵の死体処理施設を描いた
松本清張『黒字の絵』
・アンドレ・ブルトンの『ナジャ』

その上で、本読みに入りました。

床屋の薮野一家の葬儀からスタート。
彼らは戦後に朝鮮半島から渡ってきた人々であることが、
冒頭ト書きとせりふで表現される。ちょっと前まで居候していた男は、
小倉でエンバーミングをしていた過去を持つという話題も。

そこに、スリの親方と修行中のあけびが現れる。
薮野一家をスリ修行のお試し相手にしようとしたために一家は去り、
親方もいなくなって残ったのはあけびだけ。

さらに、薮野家から仕事を終えて出てきた牧師もまた、
実は小倉からやってきたあけびの知り合いであることがわかる。
母の日記を頼りにお母さんの出自を解き明かすために上京した
あけびは言い出しずらそうに、牧師さんに現在の自分がスリ稼業に
勤しんでいることを告げる。

という内容でした。

この劇の登場人物たちや物語の背景はかなり重くて暗いのですが、
にも関わらず、舞台上のやりとりはかなり軽快で明るく、コミカルです。
自分は本作を70年代後半の唐作品の中で随一と感じていますが、
暗さと明るさ、両方に突き抜けたところに唐さんの突出した才気を感じ、
大好きな作品です。

次週は青年主人公の"山手線"が登場。あけびとの出会いを描きます。

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