5/30(月)『蛇姫様 わが心の奈蛇』本読みWS第5回レポート(中野)
↑チーズの栄養で傷口もすぐに塞がる、と素朴に信じているタチション。
唐ゼミ☆2010年初夏『蛇姫様 わが心の奈蛇』より(写真:伏見行介)
昨日は『蛇姫様 わが心の奈蛇』本読みWSでした。
主に取り組んだシーンは2幕の序盤から中盤に差し掛かるところ。
新規開店した「Barハコ師」の営業研修が落ち着いたところで、
主人公である小林・あけびが立て続けに登場し、物語が本筋に戻ります。
冒頭に取り組んだ権八・伝治の一人二役がバレる場面は、
ドリフや吉本新喜劇のように、古典的にコミカルなシーンです。
しかし、その中にはさりげなく、
薮野文化がヘビを「知らない兄ちゃん」と呼んで、
自分たちがヘビ一族(日本人ではない)だと暗示するシーンや、
権八が「あたしだって、真の、真の海をみつけたいの! 」と
真情をダイレクトに明かすせりふが隠されています。
ドタバタの面白さの中にこういう細部も余さず表現しきる面白さ、
それによって完成する劇世界の豊かさについて説明しました。
それに全体の流れの中でも各々が好き勝手やっている状況を作ると、
劇が活き活きとする。唐さんの得意技のひとつがこういう仕掛けです。
それから、パチンコ店に就職した小林がやってきて、
タチションとの会話になります。タチションは小林に対して甲斐甲斐しい。
客の残したチーズを食べて傷を直し元気を出すよう小林を励ましますが、
当の小林の頭の中は姫と思い定めたあけびでいっぱいです。
このあたりのすれ違いが、タチションを健気で魅力的にします。
そこへさらに、床屋で働き始めたあけびがやってくる。
結局、
あけび-床屋、小林-パチンコ屋、タチション-Barハコ師
それぞれの場所で修行に入った彼らはいずれも不遇です。
そこであけびと小林は、二人でつくり上げた「蛇姫様ごっこ」に
さらにのめり込むことで、現実逃避しようとする。
このあたり、私たちが劇や音楽や映画や小説やマンガなど、
虚構の世界に託す思いと一緒です。
こちらの方により自分の真実があるんだ!
そういう思いでこのワークショップもやっているところがある。
皆さんのような仲間がいると、さらに幸せ。
しみじみとそんな話をして散会にしました。
来週は、主人公たちのところに敵役の伝治が現れるシーンに進みます。
唐さんの3幕ものは間違いなく2幕が面白い。
それを地でいく場面の連続です!
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