6/6(月)『蛇姫様 わが心の奈蛇』本読みWS第6回レポート(中野)

2022年6月 7日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 唐十郎戯曲を読む『蛇姫様 わが心の奈蛇』

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↑わらじを頭に載せる。汗の量がすごい初夏の芝居(写真:伏見行介)


昨日は本読みワークショップでした。

二幕も半ばに差し掛かり、再び再開したヒロイン・あけびと小林が

"蛇姫様""白菊谷""黒あけび"にまつわる妄想を育むシーンです。


冷静に考えると、二人は二十歳を過ぎているわけですし、

かなりイタい大人の男女だとも言えます。


が、

一人は小倉から出て来たばかり、床屋見習いのてんかん持ち、

しかも自分の父親や亡くなった母の出自もよく分からない。

一人は、グレてスリに手を染めたところ、指を詰めさせられた

パチンコ屋の新人店員ということで、なかなかに過酷な現実を

生きています。


こうして二人で蛇姫様ごっこしていないとやっていられないよ!

という彼らの切実な願いは、唐十郎ファンなら誰しも共感できるはずです。


それに、このシーンは全体のキモです。

小林が妄想する白菊谷の描写、暗いところに沢山のヘビがウネウネしている。

直視できないほどの不気味さゆえに、Barハコシ開店お祝いの鏡を使って

間接的に見なければならないほどの光景のおぞましさ、

という伏線が、劇の終盤で明かされるあけびの出自に繋がっていきます。


現実には、Barのセットの中で二人が探検ごっこしているだけなのですが、

この妄想をお客さんに共有してもらうことはかなり大事で、上演する側と

しては難所でもあります。てんかん予防にワラジを頭に載せて冒険する

あけびは可愛らしく、これも楽しんで欲しい。


さらにその後、伝治が登場してエンバーミング=死体化粧の

何たるかを語り始めると、舞台は一転、闇の雰囲気に包まれます。

朝鮮戦争時代の小倉に現れた凄惨な死体処理現場が

唐さん一流の長ぜりふによって想像力の中に現れる。


この陰と陽の目まぐるしい切り替え。

参加者の皆さんも心得たもので、コミカルの中にあるシリアスと

シリアスの中にあるシリアスを縦横に操ってもらいました。


ことばの力を借りて観客を弄ぶ快感。役者に弄ばれる観客の快感。

それらを同時に味わえる名シーンです。

あけびの床屋修行が、実はエンバーミング修行であったことも分かる。


次週は、そんなあけびが一人前の死体化粧師になり、

テレビ各社の取材が殺到するという奇想天外な場面からいきます。

大河ドラマ『黄金の日々』を翌年に控えた唐さんの露骨なまでのHNKびいき。

これが炸裂する洒落っ気に満ちたシーンです。


途中参加でもかなり楽しめます。ご興味ある方はぜひ!


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