4/15(木)ワークショップレポート(林)
2021年4月15日 Posted in 中野WS『海の牙〜黒髪海峡篇』
↑鉄棒。「大車輪」の話題が出たので、イメージを具体的にするべく
近所の公園に来ました。が、からだが重すぎて逆上がり一回が限界!
さて、前回は女(瀬良皿子)と男(呉一郎)の会話から、
按摩が登場し、"昼下がりの粒々"の話をするところまででした。
まずワークショップの前半は、
前回の男と按摩の会話を少し掘り下げるところからスタート。
"粒々"にまつわるエピソードを話す按摩に対し
厄介な者に関わってしまったと後悔しはじめた男は、
あんた一体なにものなんだ!と聞きます。
台本上では「按摩」と書いてあるので読み進めてしまっていましたが
男(呉一郎)にとってはずっと謎の男がつかまらせてくれ、と言っていたのです。
ここでようやく、"按摩"であることが明らかになります。
そこへ按摩の三人の弟子がやってきます。
「もう帰ってもいいですか?」と聞く弟子に
按摩は"つかまる"のなんたるかを弟子に叩きつけ、そして人形を揉んで実践する弟子たち。
按摩学校の授業の様子が垣間見えるシーン。
(このあたりも『盲導犬』で登場した先生、生徒たちとやりとりが似ている...!)
ようやく男につかまることができた按摩は、
この呉一郎の右手の異変に気づきます。まるで鉛のような右手。
呉一郎は、この右手を「これ」といったり、「ほうらよ」と投げ出したりする。
小刻みに震えるその右手は言うことを聞いてくれない。
おまけに"ダダダントンタン"とリズムを刻み、歌まで歌ってしまう始末。
冒頭の呉一郎とはまるで違う人物!これも右手の仕業。
按摩はこの右手を「ダントン」と名付けます。
(ダントンといえばフランス革命で活躍した革命家「ジョルジュ・ダントン」がいます。)
按摩に右手をあずけながら、呉一郎は中学時代の話を始めます。
それは大車輪をやってみろと言われた時のこと。
(なんの気なしに話は続きますが、大車輪ができてしまう呉一郎、すごい。)
同級生にもてはやされるその大車輪の最中、向かいの校舎で
ある女と目が合う。
そしてその女はこう言う。
「その大車輪は円じゃない。」
「君は直線しか知らない人です。
君はおそらく自分の心臓を四角に切って定規で心弁の尖をちょん切ることができるが、
勢い余って辺という辺を気が向くままにふやして、
それを円と思いこんでる。君の大車輪はそういう邪道の円だ」
この言葉に引っかかった呉一郎は、鉄棒から落っこちてしまいます。
後々わかるのですが、この女こそ「瀬良皿子」。
(出会いは中学校時代!)
呉一郎の大車輪を「邪道な円」という瀬良。
彼女の求める円とは一体どんなものなのか。
もちろん今週のキーワードは"円"。
たしかにここまでの中でも"円"を思わせる「粒々」「まんまる」「大車輪」「丸太」
などがちりばめられています。
同じように、読者に"円"が目につくように表現で書かれている作品として
アラン・ロブ=グリエの『覗くひと』が取り上げられていました。
「邪道の円」とは何なのかも気になりますが
このヒロインの「瀬良皿子」の正体もいまだ謎。
彼女の描写について、一つ前の作品『ベンガルの虎』バングラデッシュ公演
でみた中東の女性像が影響しているのではないかという話にも触れ、
予習の材料が色々出てきたところでワークショップは終了!
次週もよろしくお願いします!
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