10/3(月)『黒いチューリップ』本読みWS 第9回レポート(中野)

2022年10月 3日 Posted in 中野WS『黒いチューリップ』
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↑2004年、唐十郎ゼミナールでの上演。初期の活動を支えた屋台骨
新堀航君が"泡小路"を好演しました。二枚目と三枚目を行き来し、
観る人に愛される役者、人格的にも大きな男です


一昨日、10/1(土)に本読みWSをやりました。
私の都合で、日曜開催をずらしてもらったのです。
中には、同じ土曜の午前中に林麻子が行っている劇中歌のWSと
渡り歩いてくださった方もいます。ありがたい!

全10回の構想で始めた『黒いチューリップ』本読みもいよいよ終盤。
物語の"ラスボス"的存在である姉ノブコが登場するところまでをやり、
来週の終幕に備えたのが第9回目でした。

当然、物語が煮詰まっていくわけですが、
常に軽快な笑いやおかしみに溢れているのがこの台本の特徴です。

そのような中でも特に面白い刑事・泡小路の場面からスタート。

必死になってケイコの解毒にいそしむエコーに後ろから声を
かけたのが泡小路です。彼は徹底して、エコーを伝説のパチプロ
"一本指の田山"と思い込み、刑事の怖さと田山に恋する乙女心の
両方を使ってエコーに迫ります。

そして、その迫力にエコーがたじろぎ、二人でふざけ始める。
エコーと泡小路が『マッチ売りの少女』ごっこにのめり込み、
それが極に達するとき、ケイコが起き出します。

効いたのは解毒の水か、くだらないシーンへの憤りかわからない。
面白いシーンです。

ケイコが起き出すと、エコーは泡小路を捨てます。
すると、嫉妬に狂った泡小路は刑事の強権を発揮する。

今日は春太とナルヒサの姉・弥生の結婚式、仲人の泡小路も
もちろんこれに立ち会っていたわけですが、会場のカーテンに
チューリップの影がよぎるや、春太はケーキ入刀のためのナイフを
取りに行くと言って姿を消してしまったのです。

泡小路は、そのチューリップの影こそケイコの仕業ではないかと迫る。
エコーはケイコのアリバイを盾にその説を否定しますが、
そもそも春太に毒を飲ませようとしたのが犯罪であると、泡小路は迫る。

こうなるとケイコとエコーは下手に出るしかなく、
泡小路は居丈高に、エコーがケイコを捨て、自分と一緒に関西に来るよう
迫ります。(この辺は、前年に初演した『秘密の花園』の影響!)

が、泡小路の増長ぶりに怒ったケイコは、
「オマエにも毒を飲ませるぞ!」と言って泡小路を撃退する。
このあたり刑事の腕力を持つ泡小路がケイコを恐れたのは、
自らの性癖に起因した女性にキスされることに対する恐怖かもしれません。

ともかく、あっさり泡小路は去り、
ケイコは姉ノブコが菊地の助力で出所し、こちらに向かっていることを
知ります。ならば、ノブコから送られてきた鉢、球根を用意しなければ!

実際、この球根は二幕ラストの春太によって殺されたわけですが、
その事実を告げられないエコーは、これをなんとか誤魔化そうと
奔走します。そこに多くの人たちがなだれ込む。

少年サワヤカ、釘打ちの天魔と孫グリコ、サキが率いる景品買いの
婆アたち。そして結婚式場からやってきた春太と、彼を追う
ナルヒサや姉・弥生。

ここで、ナルヒサとサキの罵り合い、少ししか喋らない弥生の、
必死だけれど間の抜けたせりふも味わい深い。

そして、春太は心変わりを訴えます。
結婚寸前で思いとどまり、ケイコに「姉さんを迎えに行こう」と迫る。
ケイコにとっては願ってもない最上の結果です。
春太に抱きつかれるケイコ。

・・・と、春太の肩越し、ケイコの視界に飛び込んだのは姉ノブコ。

ついに帰ってきたノブコを前に波乱の予感を孕ませながら、
来週、この劇はエンディングを迎えます。

次回も土曜日!

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