9/12(月)『黒いチューリップ』本読みWS 第6回レポート(中野)

2022年9月12日 Posted in ワークショップ Posted in 中野WS『黒いチューリップ』
DSC04508.JPG
↑たくさんの現役学生たちが出演してくれた2004年の唐ゼミ☆公演

昨日は『黒いチューリップ』WSでした。
ノブコを迎えに行こうと意気込むケイコとエコー(春太に化けている)
の前に、春太本人が現れ、ノブコと実験していた黒いチューリップ開発
について明かされるシーンから。

まずは、本物の春太が登場して気まずいエコー。

ケイコと春太の会話の中から、
春太とノブコは二つの同種の球根を分け合い、
黒いチューリップをそれぞれの方法で育て上げようとしていたことが
明かされました。

1幕のケイコのせりふでは、
ノブコは春太に内緒で花の育成に取り組んでいたと語られますから、
つまり、それは春太とノブコの秘密の競争だったということです。

春太は日向で、ノブコは日陰で育てようとした。
春太の球根は、ナルヒサの通う警察学校の園芸クラブの生徒たちも
巻き込み、大々的に展開していたそうです。

100人の学生たちがそれぞれのチューリップの鉢も持って
水底から合唱しながら現れるシーンは、読むに楽しく、実現するには
至難です。何しろ、100人が衣裳を濡らすのです。
その後、2幕が終わるまで彼らは出ずっぱり、初演は冬だし、
寒かったと思います。衣裳や小道具の管理はもちろん大変。
唐さんも罪な設定を用意したものです。
しかし、読んでイメージするのは抜群に面白い。

このシーン、一瞬、泡小路が登場して消えるというギャグまで入っていて、
一つの笑いのために泡小路も濡れる。クリエーターの執念を求められます。

結果的に、派手に登場した彼らの鉢は月並みなカラーのチューリップ
に育ってしまい、春太の実験は失敗したわけです。

そこで春太は、ノブコに持たせたもう一株の行方を追うようになった。
実は、春太はチューリップに執着しているに過ぎないのですが、
ともかくもノブコに会いに行きたいという春太に絆されたケイコは、
ノブコが送ってきたという鉢を披露します。
それは、1幕の最後にケイコが持って現れた鉢。

ノブコが施したさまざまな工夫をケイコは明かします。
土や、栄養に加えて、春太との様々な思い出の品まで入れていたノブコ。
ケイコはその結果に自信を見せ、春太と生徒たちの期待は高まります。

が、皆の注目を浴びる鉢の中をよく見れば、肝心の球根が無い。
これはパチンコ屋から第三コンドルタクシーに移動する過程で、
ケイコから鉢を託されたエコーが、その燕尾服の内ポケットに
球根を移していたためでした。

そして、その球根が現れたみれば、
結果的にはエコーが触れたことで球根が急成長していたことも分かった。
パチンコ屋で威力を持ったエコーの一本指は、ここでも絶大な効力を
発揮します。

順調に育った球根を巧みに元の鉢に戻すところで、昨日は終了。
来週は、見事これを開花させられるかどうかという2幕ラストに
取り組みます。

ちなみに、善福寺川が、
警察学校の庭、第三コンドルタクシーの地盤陥没、パチンコ屋の井戸
に、それぞれつながっているという発想はかなり強引ですが、
唐さんならではの剛腕です。

すべての水脈・水道はつながっているという『唐版 滝の白糸』の
仕掛け、唐さんの信条が、ここでも大活躍しています。

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)