9/26(月)『黒いチューリップ』本読みWS 第8回レポート(中野)

2022年9月26日 Posted in 中野WS『黒いチューリップ』
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↑三幕で再登場した菊地を演じる安達くん。
『ジョン・シルバー』に思い入れのある私たちは、オウムものせました

昨日は『黒いチューリップ』本読みWSでした。
三幕半ば、ケイコが復活するまでの過程に取り組みました。

ここは歌舞伎でいうとダレ場です。
物語の本筋に戻るまで、お客さんがリラックスして楽しめる
にぎやかしの場面。惹き込まれるような展開、ではなく
バラエティに溢れる賑やかなシーンの連続。

毒を飲んで意識を失っているケイコ。
その解毒に協力した景品買いの婆あ・サキは、
見返りにエコーの体を求める。結果、エコーは襲われることに。

初演のサキを大門伍朗さんが演じたことからも分かるように
かなり笑いの要素が強いシーン。強いていえば、老いて尚
盛んなおばあちゃんの力強さ描く場面でもあります。

残されたサワヤカがケイコの解毒にあたっていると、
菊地が登場する。そして、毒を飲んで意識を失ったケイコの
代わりに姉ノブコに会って来たと告げます。

菊地に対する10万円の返却も済んだノブコは、
陽の光を恐れながらも出所し、鉢がどうなったかを気にして
こちらに向かっている。これが菊地による最も重要な情報でした。

さらに面白いのは、菊地がコンドルタクシーを退めたこと。
今や彼は、陥没した車両を救うために負った怪我が原因で松葉杖を
必要とする体となり、「シルバー」という会社で働いていると言う。

松葉杖とシルバーといえばご存じ「ジョン・シルバー」。
つまり、ノブコという奇矯な乗客に感化され、思い入れすぎた菊地は
今はタクシー業界のアウトローとなって彷徨っているというわけです。
シルバーという会社は、彼が妄想しているだけの架空の会社なのでは
ないか。そういう読み方もできる。
菊地こそ、俳優なら誰もが演じてみたいオイシイ役です。

彼が去ると、エコーが再登場。
彼は、少しだけサキに襲われたものの、神聖なるパチンコ屋の正義を
司るクギ師・天魔によって救われました。
エコーを襲ったサキや婆あたちは叱られ、大人しくなります。

エコーは元の目的であるケイコのもとへ駆けつけ、解毒を続ける。

と、そこへ今度は刑事の泡小路が乗り込んでくる。
これまで強面だった彼の様子は一変し、オカマとして本性もあらわに、
一本指のパチプロ・田山への想いを打ち明けます。
エコーも仕方なく相手をするうち、エスカレートする二人の悪ふざけ。

・・・という場面までやりました。

面白いのは、他の作品に比べればかなり平和に感じるこの物語の中でも、
脇を固める登場人物たちがそれぞれに異様なこだわりを持ち、
それが魅力になっていることです。

菊地・・・車両とタクシー業、お客
天魔とグリコ・・・パチンコ店と釘打ち
サワヤカ・・・数学塾
泡小路・・・パチプロ・田山

という具合に、彼らの一途さはそれぞれの対象に向かって暴走します。
そして、その王者たる存在が最後に登場する姉ノブコなのです。

次回はケイコの復活から。あと2回で大団円です!

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