9/5(月)『黒いチューリップ』本読みWS 第5回レポート(中野)

2022年9月 5日 Posted in 中野WS『黒いチューリップ』 Posted in 中野WS『黒いチューリップ』

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↑タクシー運転手・菊池との会話。沈んだタクシーが後ろに見えます


9月に入り、参加者の皆さんと一緒に二幕の中盤に挑んでいます。
昨日、とっても大切だったのは、タクシー運転手「菊地」が登場した
ことです。

唐さんの芝居では二幕中盤に味のあるキャラクターが登場して
観る人を魅了するケースがたくさんあります。

『吸血姫』・・・ヒロイン・さと子のお父さん
『唐版 風の又三郎』・・・樫村三空曹に化けた宮沢先生

彼らは男性ですね。女性だと、

『ベンガルの虎』・・・ヒロイン・水嶋カンナの母マサノ
『蛇姫様 わが心の奈蛇』・・・ヒロイン・あけびの母シノ

といったところです。
彼らは煮詰まってきた物語に新たな局面を与えます。
舞台にサッと新鮮な風が吹く。
出番はさほど多くはありませんが、観客の印象にすごく残る。
いわゆる、演じる側にとってオイシイ役というやつです。

菊地、唐ゼミ☆でやった時には安達俊信が演じて、
大変に良い味を出していました。
もっとも、これらの役柄には出ずっぱりとはまた別の、
ピンポイントリリーフ的な集中力と大変さが求められるとは思いますが。


物語は、ケイコと、春太に化けたエコーが菊地を訪ねる場面。
タクシー運転手たちお仮眠室に忍び込んだ二人はそっと菊地を
探そうとします。が、突如、始業の目覚ましが鳴り、
運転手たちは飛び起きて身支度を開始。
それぞれのタクシーに殺到する狂騒が展開します。
その中で菊地を探す二人。

ケイコがしがみついた一人が菊地の居場所を示します。
彼は、地面の陥没とともに染み出した水に半ば沈んだタクシーの中で
休憩をとっていたのです。タクシーの扉がゆっくりと開いて出てくる。
その登場の仕方が、魅せ場になっています。

ついで、春太のふりしたエコーが交渉にあたる。
しかし、菊地は愛車の救出にかまけて、こちらを振り向こうとさえしない。
そこでケイコの乗り出す。

すると菊地がようやく語り始める。
彼によれば、自分はノブコを警察に突き出したわけではないといいます。
それどころか、ノブコが再び刑務所に入った後も春太の家に通い、
春太との交渉役を買って出ようとした末に、タクシー会社への
10万円を立て替えたとも言う。かなり優しい男です。
だから、菊地はかえって春太(に化けたエコー)に辛く当たる。

そのあたりの事情を察したケイコは、
感謝とともに10万円を返します。
その内訳は、現金9万円+パチンコ玉(1個5円分)×1,999個。
5円足りない分、ケイコは自分のブラジャーを外して
「5円借りた」と書き、借用書がわりにします。
姉への厚遇に対する感謝というか、色仕掛けというか、
この辺は唐さん流の切実さとおふざけが混ざったやり方です。

ともかくも、これでノブコへの処し方が分かりました。
お金の問題が解決しているならば、あとは春太(に化けたエコー)が
警察を訪ね、ノブコは悪くないと訴えれば良い。
勢いに乗るケイコとエコー。

ところが、ここに本物の春太が登場します。
そして本物とニセモノの春太が差し向かいになりながら、
これまでケイコが知らなかったエピソード語り始める。

それは、二つのチューリップの球根を春太とノブコが分け合い、
どちらが先に黒いチューリップを開発するか競い合っていたという
事実でした。

続きは来週。
次回は、黒いチューリップの開発に取り憑かれた春太のキャラクターが
徐々に明らかになるシーンに取り組みます。

ワークショップをやっていたら、目の前の鉢から3つある花のうち
2つが落ちた。そういうシーンが近く、二幕の終わりに到来します↓
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