10/17(月)『ベンガルの虎』本読みWS 第1回レポート(中野)

2022年10月17日 Posted in 中野WS『ベンガルの虎』
アサヒグラフ_1973.4.20.jpg
↑助成金が無かった時代に唐さんが編み出した海外公演の資金源。
隣の「和尚さんと八匹のムササビ」も極めて惹きつける。


昨日は『ベンガルの虎』本読みの初回でした。

 

まずは恒例、唐さんの活動年表の確認から。

1973年の唐さんは特に多忙です。

 

1973

2月8日 『四角いジャングルで唄う』

2月15日 『ベンガルの虎』書下ろし新潮劇場 出版

316-23日 『ベンガルの虎-白骨街道魔伝』バングラデシュ公演

421-627日 『ベンガルの虎-白骨街道魔伝』国内公演

5月 『盲導犬』公演@アートシアター新宿文化 櫻社

68日 ラジオドラマ『ギヤマンのオルゴール』放送

8月 『追跡 汚れた天使』撮影-封印

9月  文芸誌「海 1973.10号」に『海の牙 黒髪海峡篇』が初出

922-1028日 『海の牙 黒髪海峡篇』

おそらく11月に『唐版 風の又三郎』を執筆


さらに出版物をいくつか紹介しました。

状況劇場の海外公演の資金源の一つだったアサヒグラフの紀行

それがまとまった単行本『風にテント、胸には拳銃』

当時の劇団員だった山口猛さんの『幻想と廃墟の街』


あと、やはり映画『ビルマの竪琴』を観る。

新旧のバージョンを見比べながら、『はにゅうの宿』から

「水島、一緒に帰ろう!』の名シーン、

隊長が手紙を読むところまでを確認しました。



ここまで来ると、まったく上記を知らない世代でも、

冒頭から唐さんが仕掛けたパロディについていくことが

易しくなります。


舞台は錦糸町。

地盤はゆるく水が染み出し、ホステスがたむろしています。

台東区民だった唐さんの墨田区への思い溢れる設定です。


謎めいた公衆トイレの中から登場するハンコ屋の社員たちは

水島と同僚だった隊のメンバーです。


と、そのハンコ屋「馬の骨父子商会」に水島を名乗る女が

ハンコを求めてやってきます。『ビルマの竪琴』の水島二等兵は

独身なので、かなり謎めいた設定です。

彼女は、水島を名乗るハイティーンの青年を探してもいる。


他に気になるのは、町内に灰を撒いてまわるお市婆さん。

彼女はエリア随一の産婆にして、競輪場では名の知れた切符売り。


露店でミシンを売ろうとする中年男は、

元は中学校の家庭科教師で、生徒に暴力を振るうのみならず

自分を気絶するほどに殴ったことで放校になった。


・・・という具合に、登場人物の約半分と、

彼らの背景がやや明らかになったところで初回は終了しました。

かなり序の口です。来週はさらに登場人物も増え、

ハンコ屋や、水島のその後や、水島の妻を名乗る女の素性も

徐々に明らかになってきます。


トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)