1/10(火)『秘密の花園』本読みWS 第1回レポート(中野)

2023年1月10日 Posted in ワークショップ Posted in 中野WS『秘密の花園』

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↑昨日、触れた初演版『秘密の花園』戯曲掲載の文芸誌「海」


今日は肝心の内容に入ります。


冒頭。額、おでこを押さえた青年が日暮里駅近くの陸橋に佇むところ

から劇が始まります。青年の名はアキヨシ。彼には二年通いつめた

恋人がいて、彼女の名は一葉(いちよ)。

一見、半同棲状態に見える彼らですがその関係はかなり変わっています。


二人の変な点を挙げると、まずいちよに旦那さんがいること。

けれども不倫かといえば、一線を決して超えていない。

二年にわたり一度もセックスしていないという関係です。


劇中の言葉で言えば、

「肉欲」にタッチせず「肉欲以上の関係」を築いているのが彼ら。

さらにアキヨシは、いちよに月々いくらかのお金を納めているらしい。

それが丸二年。健康な男女であればなかなか不思議な関係ですが、

だからこそ二人の結びつきは特別に強いのだというのが、

唐さんが仕掛けた二人の設定です。プラトニック・ラブの極地。


二人の馴れ初めについてはおいおい語られますが、

この二人の関係はいちよの旦那公認です。

旦那は大貫(おおぬき)という名の男なのですが、

この大貫もまたアキヨシが稼いでくるサラリーを狙っている。

そのやり方が口八丁な巧みさなので、人の良いアキヨシがお金を

巻き上げられないよう、いつもいちよが気を揉んでいる、

というシーンを一昨日はやりました。

ずいぶん不思議な三角関係もあったもの。これが全ての発端です。


ちなみに、二人の関係にはメーテルリンクの『青い鳥』より

「未来の王国」の章に出てくる前世の恋人同士の少年少女が

影響しているらしい。二人が初めて揃って登場する場面が

『青い鳥』の朗読であることからも、それは顕著です。


要するに、二人は前世で愛を誓い合った、

清くて太い恋の絆で結ばれているらしい。


で、これに待ったをかけたのがアキヨシの姉でした。

アキヨシも結婚適齢期、一家を構えて一人前にならなければ

ならないと気を揉んだ姉は、縁談をまとめ、

二年続いた二人の関係を清算させようと日暮里にやってきた。

手土産にケーキも買ったという描写もあります。


ところが、駅を出て姉がトイレに立つうちに、

アキヨシは駅前のうるしの木にかぶれて、トイレから出てきた

姉が弟と分からないくらいに顔が変形してしまった。

そのような具合に二人は行き違ってしまった。

という設定から物語がスタートするわけです。


姉とはぐれて一人でいちよを訪ねたアキヨシは、

だから、いちよに別れを切り出さなければならないという思いを

負いつつ、それを切り出せないでいます。


ちょっと先回りした説明も加えましたが、

概ね、一昨日に当たった箇所は以上の設定です。


次回は、いちよの夫である大貫が登場するところから。


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