1/30(月)『秘密の花園』本読みWS 第4回レポート(中野)
↑先週は魚を紹介しましたが、「森でゲコゲコ鳴いている」という
記述から、「かじか」の由来は「カジカガエル」と判明しました。
こちらで!
かじかの登場から1幕の終わりまでいきました!
シーンをまとめるとこんな感じ。
①かじか、いちよに振られる
②アキヨシといちよの別れ
③いちよの自殺
①かじか、いちよに振られる
まずは、かじかの登場から。
彼はおじ"殿"の力を傘に着て、いちよが自分になびくのを疑いません。
そして、千賀との関係を気にしています
千賀はいちよのキャバレーの同僚であり、
いちよの夫である大貫が、千賀の赤ん坊を死なせてしまったという関係です。
その千賀の父親こそ、他ならぬかじか。
(おそらく認知はせずにお金で解決していた?)
いずれにせよ、
例えいちよがかじかを好きでも、二人の間にはここまで
入り組んだ事情があり、すんなりとは結ばれようのない関係です。
だからこそ、その禊(みそぎ)として、かじかは49段式の自転車に乗り、
日暮里のキツいキツい坂を一気に踏破してみせようとする。
それで過去の清算になるのか!
とも思わずにはいられませんが、これがかじかの主観なのです。
いわば、お遍路や24時間マラソンや散髪(女性が髪を切る、
男性が頭を丸める)のようなもんだと思ってください。
そのさなか、かじかは坂を転がり落ち、
その傷も含めていちよに評価してもらえると信じきっている。
おじである"殿"だけがそのかじかに感動し、溺愛を露わにします。
(小林よしのりのマンガ『おぼっちゃまくん』の主人公父子を思わせる)
結局、いちよはかじかにプレゼントされた指輪を叩きつけます。
(実はこれは偽物、アキヨシが提供したリング)
ここでようやく、かじかは自分がいちよに拒絶されたことを知る。
「ふられると‥‥、どうして、こんなに女が大きく見えんだろう!」
かじかの名ぜりふが炸裂します。かじかと殿は去る。
②アキヨシといちよの別れ
再び、アキヨシといちよの二人きり。
アキヨシはいちよと出会ってからの二年をお祝いするため、
ケーキを差し出します。が、勘の良いいちよは、そのケーキと、
かじかに突き返した偽物の指輪に、アキヨシの意志を見抜きます。
すなわち、アキヨシは家族や上司の計らいで
関西に栄転し、結婚までする話が進んでいたのです。
(指輪は、アキヨシの結婚相手に贈るために姉が選んだもの)
アキヨシから真実を聞き出すと、取り乱すいちよ。
いちよには大貫という夫がおり、
アキヨシとの間には一切の肉体関係がありません。
けれど、だからこそ、二人の結びつきは強く、
アキヨシが自分を捨てるのをいちよはなじります。
唐さんが生み出してきたクドきの中でも屈指の名シーンです。
一転、次の瞬間にはいちよは居住まいを正し、
アキヨシを送り出すことを決意します。
そしてトイレに立ち、何度も何度も振り返りながら廊下を進む。
"共同トイレ"というかつてのアパートの機構がここに活きています。
「ボートに乗るのは、あたしとだけよ」
と、またも『青い鳥』を引き合いに出した二人の、最後の約束。
③いちよの自殺
ここからは急転直下。
大貫が1幕半ばでしたアキヨシとの約束を決行しようと千賀を連れてきます。
亡くなった我が子に会えると期待した千賀はアキヨシを見て落胆。
短いシーンですが、千賀に絡むここをうまくやると、
若過ぎたシングルマザーである千賀の、赤ん坊への喪失感、
友だちである大貫・いちよ夫妻から月々の慰謝料を受け取る複雑な
関係が浮かび上がります。
アキヨシはアキヨシで、
いちよとの別れへの後悔や、ある不吉な予感が去来します。
トイレの戸をこじ開けると、すでにいちよは首を吊っていました。
愕然とするアキヨシ、弾けたようにいちよを救いにかかる大貫、
ついに現れたいちよにそっくりなアキヨシの姉(いちよと同じ女優が演じる)、
いちよに返された指輪を偽物と見抜き、それを返しに来た殿とかじか。
すべての登場人物の行動と想いが入り乱れて1幕が終わります。
整理するだけで長くなったので、
明日も『秘密の花園』のこの場面にまつわるエピソードをやりましょう!
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