2/13(月)『秘密の花園』本読みWS 第6回レポート(中野)

2023年2月13日 Posted in 中野WS『秘密の花園』
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↑ご存じ。初演の地である本多劇場

『オオカミだ!』劇場入り直前ではありますが、
昨夜もきっちりと『秘密の花園』を読みました。
この演目の本読みワークショップ第6回目です。

二幕中盤に差し掛かり、いよいよ初版版の特徴である
「赤ちゃんことば」のシーンに突入したのが嬉しい。
とはいえ、まずは順を追って先週の続きから。

亡くなった赤ん坊の母親であり、キャバレーでいちよの同僚でもある
千賀から「いちよちゃんをかじかから取り返して」とハッパかけられた
アキヨシが部屋に戻ると、そこにいちよがいました。

自殺を試みたほどにアキヨシに思い入れながら、
身を引くと言い出すいちよ。対するアキヨシは、自分は結婚はせずに
この日暮里のアパートにいるのだと言って聞きません。

この問答の中で、日暮里の森の奥、
硫酸の池のほとりに咲くという「忘れ菖蒲」が話題にあがります。

かつての情愛を洗い流すという忘れ菖蒲の描写は、
劇のエンディングに向けてとても大事な役割を果たします。
ここでのアキヨシといちよは、姉もろはのイニシャルを硫酸パワーで
消そうとしてこの忘れ菖蒲の話題を持ち出しますが、
この劇のエンディングでは、アキヨシが他ならぬいちよを
思い切ろうとして忘れ菖蒲のエピソードを活用します。

このように、この劇にとって大切な道具立てが初登場しました。

結局、ここでのいちよは、姉もろはが化けていました
一人の女優が二役を演じるこの芝居の仕掛けを上手く使い切った
唐さんのアイディアが冴えています。

それから、舞台は突然に洪水状態になります。
大貫がボートを担いでアパートの二階までやってくる。
彼曰く、強まる雨は洪水を呼び、この日暮里の坂の中腹にある
アパートの2階にまで押し寄せているらしい。

そのことあるわけない!と言いたくなる設定ですが、
笑いと、ロマンと、唐さんが柿落とし公演にして本多劇場を
メチャクチャにしてやろうと意気込んだのが伝わる設定です。

殊に、この後に畳敷のアパートの一室で繰り広げられる
アキヨシと大貫の擬似洪水シーンは、二人の真剣さと滑稽さが
同時に迫ってきて、笑いながらも胸が熱くなります。

大貫は自分が身を引いてアキヨシといちよを一緒にさせようとし、
アキヨシは大貫に強い情を感じる。いびつだけれど強い、
二人の絆を描くシーンです。

と、そこへ本物のいちよがやってくる。
ところが、当のアキヨシはそれをいちよだと思えなくなっている。
すでに彼の目には、姉もろはといちよの区別がつかなくなり、
二人が見分けられなくなっていくのが、日暮里というの森に
入り込んだ迷子アキヨシを炙り出していきます。

大貫のとりなしで一度はそれも解消され。
先に書いた「赤ちゃんことば」シーンに。

昨日はさわりだけやって、本格的には来週に取り組みます。
バカバカしくも真剣な恋人たちのやり取り、
初演版の真骨頂を皆さんにも楽しんでもらいたいと思います。

それから、週半ばから本多劇場入りします。
初めて立つあの劇場のステージの上で、
『秘密の花園』のことも考えてみたいと思います。

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