3/14(火)ふたつの『秘密の花園』本読みWS(中野)

2023年3月14日 Posted in 中野WS『秘密の花園』
IMG_1189.jpg
↑唐さんは何を考え、どう行動したのか。二つの版の変化には、
その表れを発見することができます。

昨夜は本読みワークショップ。これぞ唐ゼミ☆という特集が出来ました。
ここ2ヶ月半かけて『秘密の花園 初演版』を読みこなしたところで、
1998年以来唐組が何度も上演してきた改訂版とどこが違うのか、
検証する回をやったのです。

同じ台本の版の違いを比較して味わう、
というニッチ極まりない企画ですが、かなり盛り上がりました。

結論から言うと、
唐さんが改訂版にあたり注力したポイントは、
劇中の「姉」の存在感を増すことにあります。

初演では単に「医師」だった役を「野口医師」とし、
野口医師に得意の精神分析学を語らせることで、
恋人いちよと姉もろはを同時に求めるアキヨシの無意識、
アキヨシを突き動かす欲動に迫っています。

ラストシーンでは、姉もろはは恋人いちよは
別の女優の肉体として具体的に現れ、姉の存在を押し出します。

初演版では、首を吊った大貫、いちよ、アキヨシ、ネンネコ男
が二幕のクライマックス暗転時に舞台上にいたのに対し
唐組版では、そこに野口医師と姉もろはが加わり、
舞台上のカオスの度合いを高めます。

舞台のより多くの人物が入り乱れることで同時多発的に人々の想いが
交錯し、観客に同時多発的に襲い掛かります。

こう変化した理由として考えられるのは、
第一に唐組版が「劇団の表現」だからです。
野口医師を演じた金井良信さん、姉もろはに藤井由紀さんを配して、
集団戦で攻めるのが改訂版の特徴です。

対して初演版は、
いちよ&もろは=緑魔子さん、アキヨシ=柄本明さん、
大貫=清水紘治さんの三人に物語を結集させる。
そういう行き方の違いです。

参加者の中には純度の高い初演版を偏愛する人が多かったですが、
「劇団の表現」を追究する唐さんの姿勢や生き方を語り合うことで、
「作品」や「完成度」を超える劇団の運動体としての面白さに
触れられたとも思います。
自分もまた「劇団」の表現について考える機会になりました。

今回は月曜での開催、しかもかなりマニアックな回だったにも
関わらず皆さんが参加してくださったことに感激しました。

来週からは『愛の乞食』をやります。
また一から、ひとつの作品を丹念に追いかけていきます。
『ジョン・シルバー』シリーズの解説も加えて、
わかりやすくお届けします。では、また来週。
3/21(祝火)の開催です!

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)