3/6(月)『秘密の花園』本読みWS 第9回レポート その①(中野)

2023年3月 6日 Posted in 中野WS『秘密の花園』
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↑投稿内容とまったく関係ありませんが、生まれて初めて岡山に来ています

昨日、日曜日は恒例の本読みワークショップ。
昨晩はずっと読み進めてきた『秘密の花園 初演版』を最後まであたりました。

前回、迫りくる東京大洪水(大雨による)を前に、アキヨシにとって
いちよともろはの見分けがつかなくなっていくシーンを読みましたが、
その混乱はラスト20ページ至って頂点に達します。

登場したのはネンネコ男。
劇全体のプロローグ部分にのみ登場した彼が再びやってきて
半裸の謎めいた女を引っ張り込みます。

指には傷、病院の通院書こそあるものの、
その名前部分には泥がかぶり「〜葉」の部分しか読み解けません。
つまり「一葉(いちよ)」と「双葉(もろは)」のどちらか見分けがつかない!

ネンネコ男によって新たに連れ込まれた女がいちよに見え
他方、これまでいちよと思って話していた女がいよいよ姉に見えてくる。
アキヨシ、大混乱です。

その様子を見てとったいちよは、アキヨシではなくかじかに
ついて行くことを決意します。
49段式の自転車にかじかといちよは二人乗りし、アキヨシのもとから
いちよを行かせまいとして自転車に齧り付いた千賀まで巻き込んで、
自転車は波に揉まれる日暮里の坂に突進。
が、あえなく洪水に飲まれ、3人は溺れかかります。

すると、大貫がボートを仕立て、アキヨシに救助に行けと勧めます。
一念発起したアキヨシはボートを漕ぎ出し、大貫と『青い鳥』を暗唱しながら
いちよを救いにかかります。アキヨシを見送り、トイレに消える大貫。

アキヨシの救助は成功し、いちよと溺れた千賀を回収します。
3人を乗せたボートを漕ぎながら、先ほどまでの離反が嘘のように
アキヨシ・いちよの二人は『青い鳥』を誦じ、アパートに帰ってきます。

が、トイレを開けると、大貫は首を吊っていました。
いちよは咄嗟にアキヨシにもらった指輪を返し、大貫のもとに駆け寄ります。

それまで希薄と思われていた夫婦の結びつき
本能的な関係の強さを目の当たりしたアキヨシがいちよを追おうとすると、
ネンネコ男がすかさず駆け込み、アキヨシといちよの間に一本の糸を通します。
二人の関係が断たれたことをはっきりと示します。

・・・月日は経ち、アパート跡にアキヨシが佇みます。
傍らには姉のようでもあり、いちよのようでもある女性。
あれからアキヨシは関西のいとはんと結婚し、
子どもの出産を間近に控えて暮らしていました。
それが、帰京して姉と電車に乗っていた時に通りがかりの日暮里が
気になり、ふと電車を降りてしまった。

そして、2年通ったあの場所へと帰ってきました。
傍らの女は姉になり、いちよにもなり、再びトイレに消えます。
いちよが首吊りした記憶が残るアキヨシは引き止めようとしますが、
菖蒲の葉で指輪を清めれば、アキヨシのもとに帰ってくると言って
いちよは去ります。

いつか話した忘れ菖蒲。それで姉の指輪のイニシャルを消し、
いちよと結ばれるための指輪に変えようとするアキヨシ。
けれど、忘れ菖蒲に指輪を通しても、いちよは戻りませんでした。
それどころかトイレは空っぽでした。

『青い鳥』を読む声が響き、それも遠ざかリマス。
アキヨシがいま見た女も、そもそも2年通った日暮里の思い出も
本当にあったことなのか分からぬようにして物語は幕を閉じます。
まさに『秘密の花園』というタイトルにふさわしい幕切れ。

・・・長くなったので、今日はあらすじをまとめるにとどめます。
気になるシーンや読み解きのための意見は、また明日。

来週、3/13(月)19:30-21:30は、1998年以降に唐組で上演され続けている
バージョンとの比較検討をします。かなりニッチな回ですが、これぞ
唐十郎研究の真髄とも言えます。何をどう考えてどこを書き換えたのか、

その変化に、唐さんの内面と、
それぞれの時代の『秘密の花園』を読み解きます。

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