5/19(月)『黄金バット-幻想教師出現-』本読みWS 第5回

2025年5月19日 Posted in 中野WS『黄金バット-幻想教師出現-』
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↑都内に行ったついでに撮影した今朝の忍岡中学校の正門。
寛永寺の裏手にあります

このところ、米澤が気を吐いています。
彼は自分によってのみ立つことのピンチと充実を生きていると感じます。
私にとっては久々、ゼミログを書かない日々になりますが、
本読みWSのレポートだけは書きます。
一日に2本の投稿があるのを読んでやってください。

昨日は2幕冒頭から、「ヒサコ」が現れ、自分の出自を語るなかで
「ブドリ」の過去がニセモノではないかと疑わしくなりはじめるところまでを
読みました。「ヒサコ」の存在、せりふは強烈で、物語が走り始めた感が
あります。おさらいすると、

2幕冒頭。忍岡中学校の旧校舎にあるトイレを改造した教室が舞台です。
そこで「鎌いたち」は先生に扮し、やる気のない生徒たちに模擬授業を
しています。テーマは「ゴッホ」。親友ゴーギャンとの確執の果てに
自らの耳を切り落とし、ゴッホは親友にその耳を送りつけます。
その衝動はなんなのか、ゴッホを突き止めることで、「鎌いたち」は
1幕の最後に見た「ブドリ」の持つ「三上先生の耳」を見極めようとして
いる。弟分の「ペンペケ」は消しゴムを取り出し、「鎌いたち」に自分たちの
商売に戻ろうと諭します。

模擬授業が終わり、誰もいないトイレの教室に「ブドリ」「ヤゴ」「あの男」が
やってきます。「ブドリ」はそこで「ヤゴ」に、ありし日の「三上先生」との
やりとりについて語ります。「ブドリ」がキャバレーのホステスをしていた時、
別のお店でトラブルを起こした「三上先生」は怪我を負い、「ブドリ」の
アパートで介抱した経験があるのです。こうした語りから、「風鈴学級」は
定時制的に大人の「ブドリ」を受け入れる学校でもあったのだと、
当時の様子が鮮明になります。

さらに「ブドリ」は、大事にしてきた「耳」を教室の黒板の亀裂にねじ込み、
固定することで、そこに、「三上先生」が耳そばだてて立っているような
格好を仕立てます。ここで重要なのは、そもそも2幕のト書きには
「男子トイレの金かくしが大きな耳に見える」旨の記述があります。
「金かくし耳」がズラリと並ぶその中に、三上先生の本物が加わり、
みんなで聞き耳立てている、そういう格好が整います。

そこへ、「ヒサコ」が現われる。
「ヒサコ」は「三上先生の耳」が刺さった黒板の裏から現れ、
高所から落下して「三上先生」に救われたのは自分だと主張します。
それを手始めに、1幕における「ブドリ」の語りを「ヒサコ」は塗り替える
発言を繰り出します

曰く。
「ブドリ」は屋上から落ちたと言っていたが、本当は自分が藤棚から落ちた。
「風鈴学級」は上野ではなく、宮城県の松島近くにある「鳴瀬町」で
設立された特別な学校だった。自分こそが「三上先生」の生徒であり、
「ブドリ」はニセモノ・・・

というわけで、おもしろさに一気に拍車がかかる「ヒサコ」の登場でした。
次回、5/26(月)はもう一度、「ヒサコ」の登場から復習して虚実入り乱れる
「ヒサコ」と「ブドリ」の対決を読み解いていきます。

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